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認知症について

DC博士のワン・ポイント

若年認知症の支援について

若年認知症の家族のインタビューから

 若年認知症については、2004年の韓国映画「私の頭の中の消しゴム」や2006年の渡辺謙主演の「明日の記憶」によって、以前よりも世間一般に知られるようになりました。若年認知症に関する課題は多くありますが、対応はこれからで、本人や家族の置かれている状況を把握する必要があります。また子供世代への影響については、高齢発症の認知症とは異なる側面があるため、子供が親の疾患をどのように受け止めているかについて取りあげたいと思います。

 子供達にとって、認知症のことを理解する機会はまだまだ少ないのが現状です。調査に応じてくれたXさんの妻に診断がおりたとき、2人の子(女子)は高校生でした。2人に母親の病気を伝えるため、Xさんは当時流行っていた映画を通して、認知症に触れさせました。その後もTV番組で取りあげられれば、その番組を録画して子供達に観るように伝え、感想を聞くなどしていました。
 Xさんの子供達の場合は、母親の状況を父親から聞いており、メディアを使って徐々に認知症に関する情報を得ていたためか、大きな拒否反応はなかったそうです。そして子供達の本来の性格や、女子ということもあって、母親をはさんで寝るようになり、失禁に対する対応も行っていました。

 思春期は発達心理学的には同性の親をモデルとして、男性であるなら男性、女性であるなら女性としてのアイデンティティを確立していく時期です。Xさんの子供達は、比較的スムーズに、母親の疾患について受け止めました。しかし、必ずしもそうではなく、その時期に自分の親が認知症に罹患した場合は、現実を受け止めるのに困難が伴う場合もあります。

 Yさんの4人の子供はすべて男子で、認知症に罹患したのはYさんの夫でした。 四男は高校生で、今までと違う父親の行動に、つい口を出してしまっていました。自分の中にあった父親像、こうあって欲しい父親像が変わっていくことは受け入れがたいためだと思います。母親であるYさんは、高校生の子が父親にあれこれ言うのを止めすぎても、父親に言いすぎてもいけないしと戸惑っていましたが、次男である大学4年の兄が間に入ってうまく調整してくれました。Yさんは次男を頼りにしていました。同居している大学1年生の三男は、 四男のように父親の行動をあれこれは言いませんが、 次男ほど頼りにならないとYさんは感じていました。このように同じ男子であっても、年齢差があれば、親の疾患の受け止めや対応が異なっています。

 また、思春期までの子にとっては、友人の親と自分の親を比較したりすることもあるため、悩んでいたとしてもそれを同世代の友人に相談することは難しいと思います。今後の課題として子供たちをサポートする適切な手段の調査が必要と思います。

 次回は、若年認知症の人と家族が必要な支援についてお話します。

認知症介護研究・研修大府センター
研究部 部長 小長谷 陽子