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認知症について

DC博士のワン・ポイント

若年認知症の支援について

若年認知症の人と家族へのソーシャルワーク事例

 若年認知症は働き盛りで罹患することもあり、就労が困難になった場合、経済的な問題も多く、ソーシャルワーク的な関わりが必要とされます。しかし、どのような関わりが求められるかは手探りの状態です。認知症専門医療機関での取り組み事例をご紹介して、ソーシャルワーク的関わりについて考えてみたいと思います。

 Aさんは57歳(発症時年齢56歳)の男性で、アルツハイマー病の診断を受けています。Aさんの妻から主治医に「生活面や精神面での助けが欲しい」との申し出があり、ソーシャルワーカーへ紹介されました。発症による退職のため、生活面で解決すべき問題について支援がなされました。Aさんの「もう一度働きたい」という意思を受け、リハビリテーション科での作業能力評価を経て、精神障害者の通所授産施設と連携して就労・生活支援が行われるようになりました。

 Bさんは60歳(発症時年齢59歳)の男性でアルツハイマー病との診断を受けています。 診断後、記憶の低下を遅らせることを目的に、通院による作業療法に積極的に取り組みましたが、物忘れに変化はありませんでした。そのため、主治医に「他に何かありませんか」と尋ね、ソーシャルワーカーを紹介されました。リハビリテーション科と分担し、ソーシャルワーカーは主としてご本人と妻への心理的支援と具体的生活の助言を行いました。日常生活に徐々に手助けが必要になってきているため、受診の際や妻との連絡で、生活の様子を把握しながら、主治医や作業療法士と連携しながら生活設計を支援しています。

 これらの事例では、ソーシャルワーク的関わりにより、以下のことが行われました。まず、今後の症状や生活および検討課題についての助言がなされました。それにより、ご本人および家族が今後の生活に対し主体的に考えていくことができたと思われます。また、ご本人と家族への定期的な面接により、両者の不安を傾聴することで対応しています。経済的問題の支援としては、医療費の負担軽減のために自立支援医療の申請、生活費については、失業保障と障害者手帳、障害年金の申請可能な時期とおおよその給付額を提示し、不安を軽減することができました。まだまだ若い若年認知症のかたは、社会参加への希望も強くあります。それに応えるため、本人の状態を正確に把握したうえで、院内では、医師、ソーシャルワーカー、作業療法士、院外では通所授産施設の担当者、といった多職種が連携して支援が行われました。

 ご本人と家族の安定のために、多職種が連携しながら、少し先を見据えた支援を実施していくことが必要とされます。その中で、医療機関の役割としてまず求められるものは、ご本人の病気および能力について正確に評価し、その情報を、家族と他の支援機関と共有するために発信することではないかと思われます。

 次回は、「若年認知症を疑ったら」についてお話します。

認知症介護研究・研修大府センター
研究部 森 明子