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認知症について

DC博士のワン・ポイント

もの忘れ外来って何?

どんな検査があるの?

 今回は、医師がどのようなことを思い描きながら、診察しているか、また、医師の指示で行われる検査にはどのような意味があるかをお話しましょう。

 まず、物忘れ外来にこられた、 患者様や、そのご家族がどのような目的で受診されたかによりますが、まずは、最も多い「最近、ひどい物忘れが目立つが、認知症なのかどうなのか」という、認知症か、そうでないのかという区別(鑑別診断と呼んでいます)を目的に受診した場合を想定して説明します。 まずは、認知症のように見えてもそうでない状況で ある場合がありますので、それを区別することをまず考えます。
 それは大まかに言って、以下のようなものです。
 ・一時的な身体不調や、お薬などの影響によるもの
 ・うつ病などの、認知症とは別の精神的不調によるもの
 ・何らかの病気やケガなどによって、言葉が出ないなどの状況などです。

 このほかに当然、物忘れはあるが、認知症とはいえない程度(よく言う"年相当の物忘れ")ということもありますが、最近このような状態は一部、認知症の始まりである可能性が高いという研究もあり、なかなか簡単ではありません。 とはいっても、専門医と呼ばれる人たちはこのような状態を、ご本人やご家族の お話を聞きながら、上で書いたような、認知症と区別しなければいけない状態などを、頭の中で整理しながら、必要に応じて検査をしたりして区別しているのです。
 次に検査です。詳しいことは担当医に聞いていただきたいのですが、大まかのことを説明しましょう。

 まず、血液検査です。これは、内科のクリニックなどで行う血液検査と基本的には大差ありません。ですので、コレステロール、中性脂肪、肝機能などがこれに含まれます。 これらは、生活習慣病が、ある種の認知症(脳血管性認知症など)と強い関係があるために調べています。 なお、認知症に似ていますがそうでない、身体不調なども、この血液検査を利用して区別しています。具体的には、ある種のホルモン(甲状腺ホルモンなど)やビタミンなどの異常です。

 次は、画像検査です。これにはさまざまなものがあり、いわゆるレントゲン写真とよばれる、胸部エックス線写真から、CTスキャン、MRIから、SPECTをはじめとする脳のはたらき具合がわかるものまであります。CTスキャンは今は一般的となりましたが、認知症だと思ったが、実は脳に腫瘍があったとか、血腫(血のかたまり)の影響だったとかを区別するためや、 脳が縮んでいるのかどうかなどを見るために行われています。MRIは、血の流れが悪くなっている状況がよくわかるので、意識を失って倒れたことがあるなど、たとえ軽くても、脳梗塞の可能性があるときなどに多用されます。

 次は、生理的検査です。これの代表的なものは脳波検査でしょう。これは、脳から発生しているわずかな電流を増幅して、紙面に波として書くもので、その波の間隔や大きさでいろいろなことがわかります。認知症の診断としては、通常会話で異常がわからないほどのアルツハイマー型認知症であっても、波がゆっくりするなどの 情報が得られるため、診断が微妙なときなどに使われます。また、認知症は認知症でも種類がいろいろありますので、その区別のためにも用いられることもあります。

 最後は、神経心理学検査です。これは、医師または、心理の担当者が、基本的に対面して行う検査です。これは、体に注射をしたり、レントゲンを浴びせたりなどの検査と違い、ほとんどは、口頭での質問です(中には、字や絵を書いたりすることもあります)。 これも、簡便なものから時間のかかる詳しいものまでさまざまです。簡便なものとしては、10分程度で済むものや、長いものだと、1時間くらいかかる細かなものまであります。簡便なものは、施設ごとに決まったものを、受診者全員にすることが多く、時間のかかる詳細なものは、受診された方の状況、調べたい内容によって、 適宜行うことが多いようです。

 以上、駈け足で、医師が受診された方を見て考えている基本的なことがら、検査の目的などをお話して来ました。これをもって、物忘れ外来のコラムは終了し、次回からは、認知症の介護についての最近の話題をシリーズでお伝えします。本当に話し出せば切りがないようなことを、ごくかいつまんでお話してきました。ぜひ、 ご心配がおありの方は、お近くの、「物忘れ外来」に、相談されたらいかがでしょう。このコラムについてのご意見ご感想などありましたら、管理者までお願いします。

認知症介護研究・研修大府センター
客員研究員 水野 裕