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認知症について

DC博士のワン・ポイント

パーソン・センタード・ケア(その人を中心としたケア)について

パーソン・センタード・ケアのパーソン(人)の意味について

 今回は、Person- Centred- Care(パーソン・センタード・ケア)のパーソンの意味についてお話しましょう。
 「その人を中心としたケア」という言葉があります。この場合の、「人」とは、間違いなく認知症の人でしょう。私も、このように考えたから、2003年に翻訳した時にも、パーソン・センタード・ケアを「その人を中心としたケア」と訳したのです。

 しかし、パーソン・センタード・ケアでいうところの、パーソン(人を意味する英語)とは、認知症の人だけではなく、ケアにかかわるすべての人たちを指しているのです。
 私のところには、介護に関わるお仕事をしている方から、いろいろなメールが届きます。そしてその多くは、夜間に発信されたものです。「やっと、業務が終わり、今から記録を書くところです。」などの文字が並んでいます。また、研修会に参加すると、「今年はまだ、1日しか休みを取っていません、今年2回目の休みを使って参加しています」などと言う挨拶を聞くと、なんともいえない気持ちになります。

 私の知っている介護職の方には、献身的にケアに尽くそうとするあまり、自分の身を犠牲にして、業務を行っている人が非常に多いと思います。また、「患者さまのためには、職員の疲れなど関係ない」「残業など厭わず働くべきだ」というタイプの上司や、それを許す文化的土壌が(経済的事情かもしれませんが)、残念ながらあると思います。しかし、これらは、パーソン・センタード・ケアの立場からは、 よくない状況へ向かう一つの兆候に思えてしまうのです。適度な休息もなく、疲れきった体では、想像力が働く余裕もなく、どうしても、やることだけやって早く、休憩しよう(帰ろう)という方向に流れやすいと思います。そして、これこそが業務中心のオールドカルチャーなのです。疲れた中では、同僚を気遣う余裕もなく、とげとげしい言葉や、スタッフ同士の押し付け合い、果ては、認知症の人を人としてみていないような言動が増えてしまいます。 そして、そのような雰囲気は、微妙に認知症高齢者に伝わり、よくない状況へと発展しやすいのです。重要なのは、認知症の方だけでなく、スタッフそれぞれの人間性、立場を尊重し、一方的な押し付けなど行わないのが、パーソン・センタード・ケアの理念と言えるでしょう。

 次回は、パーソン・センタードな態度についてお話しましょう。

いまいせ心療センター
認知症介護研究・研修大府センター
客員研究員 水野 裕