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認知症について

DC博士のワン・ポイント

認知症のスクリーニング

はじめに

 スクリーニングテストとは、多くの人の中から特定の病気の疑いのある人を簡便に見つけ出す検査です。例えば大腸がんのスクリーニングテストに便潜血検査があります。大腸がんの表面から出血することが多いので、“検便”という検査のストレスや痛みが少ない簡単な検査で大腸がんを発見できるのです。一方、本当にがんがあるかどうかは内視鏡などで精密に調べます。スクリーニング検査は、がんそのものを調べるわけではありませんが、ごく微量の出血でも潜血反応陽性となるので、がんが小さなうちに早期発見できるのです。
 次に認知症のスクリーニングテストを考えてみましょう。まず、認知症は、①認知機能に低下があり、なおかつ、②それが社会生活の自立を阻害する状態(独居には手助けが必要な状態)です。ですから、認知機能そのものを直接測らなくても、生活の変化に気がつけば、それが認知症のスクリーニングとなり、本人にストレスをかけずに認知症の早期発見の手がかりになります。

 私たちが日頃何気なく行っている日常生活は細かく見ると記憶、思考、見当識、理解、計算、学習、言語など様々な認知機能が複雑に働いて達成されています。これらの認知機能が徐々に低下することにより日常生活において“今までと違う”が出現してきます。生活管理能力が低下して、日常生活の中でつまずきが顕著になってくるのです。この“今までと違う”に気づくことが、認知症を疑う第一歩になります。そして、次の段階で、認知機能そのものを測定することで認知症かどうかの診断がなされます。
 大腸がんの場合はスクリーニングテストの便鮮血検査が陽性だと大腸内視鏡検査へ進みますが、認知症の場合はスクリーニングの“今までと違う”という気づき(生活管理能力の低下)から認知機能テストへ進みます。

 専門的な言葉を使えば、日常生活活動(ADL:人が生活を送るために行う活動の能力)は、①歩行、入浴、トイレの使用、食事、着衣、排泄などの基本的ADLと、②買い物、食事の準備、服薬管理、金銭管理、交通機関を使っての外出などの、より複雑で道具も使う手段的ADLに分けられます。この手段的ADLは認知症の早期から障害されるので、認知症のスクリーニングとして手段的ADLが維持されているかを確認することになります。認知症が進行すると基本的ADLも維持されなくなります。

認知症介護研究・研修東京センター
研究企画主幹 内藤 典子

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