• トップ
  • 研修情報
  • 学習支援情報
  • 認知症について
  • 相談先リンク
  • センターについて

認知症について

DC博士のワン・ポイント

認知症予防!あれこれ

認知力を蓄える:脳を使うことの効用

 頭を使っているとぼけない、とは昔からよく言われています。ぼけない人たちをみて私たちが経験的にそう感じてきたのでしょうか。そのことを科学的に裏付けるような調査研究はずいぶんと増えてきています。高齢者の場合、頭を使っているかどうかは、日常生活の中の余暇の過ごし方で決まります。最近ではニューヨークのブロンクス地区で5年間に渡って行われた75歳以上の高齢者の追跡調査が有名です。それによると、日頃から新聞、雑誌をよく読んでいると何もしないで過ごしている人に比べて、アルツハイマー病になる割合は3分の2に減っています。チェスなどの頭を使うゲームをする人、クロスワードパズルを解くのが好きな人たちは皆、何もしない人に比べてアルツハイマー病にかかりにくく、発症の割合は4分の1に減っていました。驚くほどの効果です。

 なぜ、頭を使うとぼけないのかについては様々に推測されています。頭を使うということは神経細胞の活動を活発にしていることにほかなりません。頭脳活動をすればするほど知識の習得は増えます。「考える」とは情報を分析し、過去の経験や知識と照らし合わせ、判断するという思考回路を何度もくり返すことです。この結果、活発に働く神経細胞の数は全体として増えていきます。
 このことからある仮説が提唱されるようになりました。『認知的予備力』仮説と言います。活発に活動した経歴のある神経細胞の全体量のことを「認知的予備力」と呼びます。知能の蓄えのようなものです。仮にいくつかの神経細胞が老化やアルツハイマー病の変化で脱落していっても、「認知的予備力」が多ければ活発に活動できる神経細胞の数にはまだ余裕があります。認知症状が出るまでには相当な年月が必要になります。「認知的予備力」が少ないと、アルツハイマー病などで同じように神経細胞が脱落しても早く認知症状が出てしまいます。
この仮説を実際に裏付けるように、激しい脳萎縮や脳血流の低下がみられていても、知的活動の活発な人には認知症状はないか、軽い、というデータが蓄積されつつあります。

認知的予備力の図

元認知症介護研究・研修東京センター
副センター長兼研究部長 須貝 佑一

目次