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事例概要 事例23

タイトル:昼夜問わず徘徊し介護への抵抗とふらつきのあるAさん

Ⅰ.<事例の状況>

 Aさんは数年前よりアルツハイマー型認知症との診断を受け、娘の介護と在宅サービスを受けながら、自宅での生活を送っていた。施設への入所後数ヶ月は、時折家に帰りたいと言いながら歩き回る程度であったが、半年経過した頃から日中に表情険しく歩き回ることが多くなり、スタッフの言葉かけや付き添いに対し不機嫌をあらわにした表情や言動が見られるようになる。それから医師の診断のもと、アリセプトの服用を中止し、新たに向精神薬の投薬がはじまった。しかし、その後は長時間にわたる徘徊、夜間不眠、脱衣行為、他利用者への暴力行為が見られるようになる。会話でのコミュニケーションが難しくなり、ふらつきによる付き添いに対し、始めは手を握って一緒に歩くが、突然手を振り払い、粗暴な行為が見られる。その内、「疲れた。」と何度も訴えるが、座って休むように促し、椅子に座るも、落ち着かない様子ですぐにふらふらと歩き回る行為が繰り返し続いている。「トイレに行きたい。」と言う時もあるが、トイレには入りたがらずに、廊下などでおもむろに排泄することが見られる。

Ⅱ.<この事例で課題と感じている点>

 長時間にわたる徘徊、夜間不眠、ふらつきの中で、本人もひどく疲れを感じているようであるが、意志の疎通が難しく、介護全般への抵抗を受け、どのように対応を図っていいか分からない。

Ⅲ.<キーワード>

 意志の疎通が困難。 興奮。 介護への抵抗。 目が離せない。 長時間にわたる徘徊。 転倒の危険。

Ⅳ.<事例概要>

年  齢 70歳代後半
性  別 女性
職  歴 金融機関に勤める 洋裁パート
家族構成 娘2人と同居
認知機能 HDS-R0点
要介護状態区分 要介護5
認知症高齢者の日常生活自立度 Ⅲb
既 往 歴 高血圧症 脂質異常症
現   病 アルツハイマー型認知症 脂質異常症
服 用 薬 セパゾン・グラマリール・ローコール錠
コミュニケーション能力 言葉かけに反応はあるが、意味不明な言葉や行動がある。
性格・気質 気が強い。 さびしがりや。
A D L 食事、排泄、入浴、着脱など日常生活全般において、全介助を要す。
障害老人自立度 A2
生きがい・趣味 日本舞踊
生 活 歴 兄弟はなし。幼いころより母親一人で育てられ、母親の仕事上、一人ぼっちになることが多く寂しい思いをする。成人すると金融機関に勤めて、好きなダンスを習っていた。夫とはダンスで知り合い結婚、結婚後は金融機関を辞めて、洋裁のパートで働き、娘二人にも恵まれる。日本舞踊も数十年にわたり習っていた。
人間関係 自ら話しかけるタイプではなかった。以前は言葉かけに笑顔で応じることが多かったが、現在は面会の娘の顔も理解せず、一人での行動を好む時が多い。
本人の意向 体調を回復して、ふらつきを無くし自由に行動したい。
事例の発生場所 特別養護老人ホーム
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