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事例概要 事例46

タイトル:意思疎通が困難なAさんの気持ちを汲み取るには?

Ⅰ.<事例の状況>

 Aさんは50歳代半ばの頃、「買い物に行っても買う物を忘れる」、「トイレの後、席に戻れない」、「同じ服ばかり着ている」、「計算ができなくて1万円札で買い物をしている」等の症状が出現したため、家族が病院に受診させ、アルツハイマーとの診断を受ける。デイサービス、ショートステイのサービスを利用していたが、夫との二人住まいで夫の介護負担が増し、仕事にも支障を来したため居宅ケアマネジャーより相談依頼あり。小規模多機能型のサービスを開始。通いは毎日、泊まりはひと月の中で週1日を2回、週2日を2回、利用している。
 意思疎通も困難であり、訴えのある時はスタッフの声掛けも全く聞き入れず独語で帰宅発言、意味不明の発言を繰り返すのみである。「カラオケが好きだ」との情報で不穏になるとカラオケ、散歩、コミュニケーションで対応するが、効果はあまりない。夜間の不眠が強い時に眠剤を服用してもあまり効果が見られなかったが、利用から2ヶ月を過ぎたころより良眠できる日が多くなった。

Ⅱ.<この事例で課題と感じている点>

 サービス利用時、本人には穏やかに楽しく過ごして欲しいが、帰宅欲求が強くなると対応困難である。

Ⅲ.<キーワード>

 コミュニケーションが上手にできず帰宅欲求が強い。

Ⅳ.<事例概要>

年  齢 60歳代前半
性  別 女性
職  歴 工場勤務などいくつかの職を経験している
家族構成 夫と二人暮らし(次女は近くに住み介護の協力あり)。 長女は夫の仕事関係で海外在住
認知機能 HDS-R0点(測定不能)
要介護状態区分 要介護3
認知症高齢者の日常生活自立度
既 往 歴 なし
現   病 アルツハイマー型認知症
服 用 薬 グラマリール、アリセプトD、エースコール、リスパダール 、リーゼ
コミュニケーション能力 簡単な会話はできるがつながらないことが多い。簡単な問いかけの返答はできる。
性格・気質 内気。きれい好き。几帳面。
A D L 身体的自立
障害老人自立度 自立
生きがい・趣味 カラオケ、旅行や外食
生 活 歴 B県に生まれる。会社に勤めていた。20歳代前半で結婚し、結婚後は親類が経営する飲食店で働いていたが、転居した40歳頃からは近くの工場で働いていた。二女をもうけ、近くの会社で働きながら子育て、孫の子守りをしていた。家族でよく外出(温泉、食事)していた。夫の兄弟とも旅行によく行っていた。また仕事仲間と食事やカラオケによく行っていた。若いころは酒やタバコをたしなんでいたが今は止めている。家族を大事にしていた。
人間関係 キーパーソンの夫は経済的なこともあり働いているが、精神的な介護疲労が強く、本人との関わりに距離を置いている。近くに住む次女が時々自宅を訪れ、身の周りの世話をする等介護の協力もある。
本人の意向 意思疎通が困難であるが、夫の側にいると笑顔あり安心できる様子である。
事例の発生場所 小規模多機能型居宅介護事業所(通い、泊まり)
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