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認知症関連や事例中の用語について説明しています。

<アセスメント> アセスメント
アセスメントとは、要介護者が語ったことや健康状態、生活機能全般(精神機能、身体機能、ADL、IADL社会的役割など)、要介護者の生活史、人生史、生活習慣、価値観、そして介護環境(人的環境、物理的環境、地域環境、制度など)の情報を収集し、それらの情報は要介護者にとってどのような意味があるのかを読み取ることを通じて、自立、そして自己実現に向けて利用者がどのような希望や意思、すなわちニーズを持っているのかを明らかにすることです。
<アリセプト> アリセプト
アルツハイマー型認知症の適用薬です。本症は記憶に関係する神経伝達物質アセチルコリンの減少のため著しいもの忘れ等の症状が見られますが、塩酸ドペジル(*商品名:アリセプト)はその減少を抑える効果があるとされています。原因そのものには効きませんが、進行を遅らせる効果があります。投与は1日1回の投与でよく、最初の1~2週間は1錠3㎎、それ以降は医師が薬の効果をみながら5㎎そして10㎎と段階的に増やしていきます。効果として物の置き忘れが減少する、思い出すまでの時間が短くなる、家族と他人を間違えることが少なくなる等平均約10ヶ月の進行が抑制されます。副作用としては食欲低下、下痢などの胃腸障害がおこることがありますが、その程度は軽いものです。また服用中にイライラしたり、興奮しやすくなることがありますが、一時中止すると軽快します。ただし、心機能に異常がある人は注意が必要です。
<アルツハイマー型認知症> アルツハイマーガタニンチショウ
1906年、ドイツの精神科医アルツハイマーによって初めて報告された疾患です。認知症の原因疾患の50~60%を占める最も頻度の高いものです。アミロイドβタンパクという異常物質が脳の神経組織に沈着して認知機能の障害をおこしてきます。このために脳の萎縮がおこって画像診断によっても示されます。初期あるいは軽度の時期にはもの忘れ(記憶低下)によって始まり、次第に言葉のやりとりができなくなったり、料理など手順をおって作業をすることができなくなります。中等度になると自分の居場所がわからなくなる(失見当といいます)、ガスをつけたが消せないといったことがおこったり、高度になると親しい人の見分けがつかない(失認)、失禁などがおこってきます。さらにご本人はこのような認知障害のために不安になったり妄想や徘徊、あるいはせん妄状態をおこすなどの心理行動症状を伴うことがあり、毎日の生活に著しい支障を来してきます。治療としては進行を抑制する効果をもつ「アリセプト」が唯一の薬物ですが、現在、原因が次第に明らかにされ新薬の開発が進められています。
<易疲労性> イヒロウセイ
全身倦怠感や易疲労性はうつ病の主要な症状です。疲れやすく、気力が低下して、何をする気も起きなくなります。気持ちだけは焦りますが、それをするだけの気力がわいてこない状態です。
<うつ病> ウツビョウ
うつ病は心の病です。うつ病の症状には、うつ気分(落ち込む、おもしろくない、死にたいと思う等)、気力の低下(引きこもり、行動が少なくなる等)、さらには、頭痛、不眠、食欲低下、便秘、下痢等の身体症状の訴えがあります。高齢者の場合のうつ病は、身体不調による苦痛、経済力の低下、定年退職などによる社会的役割の喪失、さらには近親者との死別体験等をきっかけにおこることが多いといわれています。若年期~壮年期のうつ病も症状は同じですが、高齢者のうつ病では、不安・イライラ感が強いこと、身体の症状や不健康を極度に心配してくどくど訴えることがあります。うつ病の場合、医師の治療(抗うつ薬による薬物療法が主体)の他、環境の調整や心理療法も大切です。自殺を予防することが大切で、暖かい対応や声かけなどによる支えが必要です。
<覚醒時間> カクセイジカン
睡眠時間以外の時間。認知症の人には、睡眠や摂食のパターンを決める概日リズム(約24時間周期で変動する生理現象)の障害として睡眠障害が起きやすく、覚醒時間に影響します。
<感情の易変> カンジョウノイヘン
感情のコントロールが低下した病的な状態です。不機嫌・抑うつ気分・いらいらなどとして現れます。脳血管障害や脳の外傷でみられる症状の1つです。
<家族会> カゾクカイ
家族会とは、家族介護者による当事者組織のことです。家族会の役割(活動)には、当事者同士で互いに支え合うピアサポート、精神的負担を軽減しあう人間関係の形成、介護情報等の交換などがあります。家族会の種類としては、全国組織としての「認知症の人と家族の会」、それぞれの地域において個別に組織されている家族会の二つがあります。認知症の人本人、介護している家族の他、認知症の医療や介護に携わっている者、研究者、ボランティアなども会員になっています。
<介護支援専門員(ケアマネジャー)> カイゴシエンセンモンイン(ケアマネジャー)
要介護者(要支援者)やその家族からの相談に応じ、居宅サービスや施設サービスを利用できるよう市町村、居宅サービス事業者、介護保険施設等との連絡調整等(訪問調査、ケアプランの作成等)を行う者です。介護支援専門員になるためには、業務従事期間の要件に該当し都道府県知事又はその指定した者が行う介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、都道府県知事又はその指定した者が行う介護支援専門員実務研修を修了して当該介護支援専門員実務研修を修了した旨の証明書の交付を受けなければなりません。
<クラッシュ症候群> クラッシュショウコウグン
阪神大震災の際に注目された症候群です。地震災害などで、救出や搬送が遅れたため、後に急性腎不全や心不全を起こす全身障害をいいます。尿が茶色に変わり量も減少するのが初期症状の特徴です。傷ついたりした筋肉から出るタンパク質“ミオグロビン”などが、急激に全身に広がり、腎臓や心臓の機能を悪化させると考えられています。
<ケアプラン> ケアプラン
ケアプランとは、アセスメントで明らかになった要介護者の希望や意思、すなわちニーズが実現されるように、要介護者に対してどのような方針で、どのような具体的なサービスを提供するのかを計画したものです。介護保険においては要介護者がサービスを利用する場所によってケアプランが居宅サービス計画(居宅ケアプラン)と施設サービス計画(施設ケアプラン)に分かれています。医療機関においては、患者に直接ケアを提供する職種が看護職であることから、看護計画と一般に言われています。
<幻覚> ゲンカク
実際には存在しないのに、感覚的に鮮明な印象をもつ体験を幻覚といいます。例えば、実態はないのに動物や人間がみえる(幻視)、あるいは声になって聞こえてくる(幻聴)等です。対象のない知覚ともいわれます。幻視、幻聴の他に現れる感覚によって、幻嗅、幻味、幻蝕等があります。幻聴は統合失調症で、幻視はレビー小体症で現れることが知られています。幻覚の本態は不明ですが、大脳皮質の感覚中枢や脳幹部の障害等によっておこると考えられています。
<幻聴> ゲンチョウ
実在しない音や声がはっきりと聞こえること。聞こえるものは要素的なものから人の話し声、数人の会話と複雑なものまで程度は様々で、アルツハイマー型認知症では幻聴は稀です。レビー小体型認知症では多彩な精神症状の1つとしてみられることがあります。
<構音障害> コウオンショウガイ
口唇・舌・軟口蓋などの口の中の器官の動きが障害され、発音が正しくできない症状です。種類は大きく分けると、癖など間違った構音の習慣などで起きる機能性、口蓋裂や舌の手術後など構音器官の形の異常や欠けているなどが原因の器質性、そして脳梗塞・脳出血などの後遺症として、あるいは顔面神経麻痺などで起きる運動障害性の3つがあります。
<高次脳機能障害> コウジノウキノウショウガイ
交通事故などで脳に障害を受けたことにより、記憶、判断、言語などの機能に起きた障害です。失語・失行・失認などの症状があらわれますが、外見上は障害のあることが分かりにくいため、周りの人が理解できないことがあります。
<座薬> ザヤク
体温で融解するロウのような基剤の中に有効成分を分散させ、肛門や膣に挿入して用いる医薬品の製剤です。一般的には坐薬といいます。
<床頭台> ショウトウダイ
病室のベッドの横に置かれた台で、患者の持ち物を入れたり、処置時の台などとして使われます。
<自己覚知> ジコカクチ
社会福祉援助において援助者が、自らの能力や性質・価値観等を客観的に認識し、態度を意識的にコントロールすることです。
<若年認知症> ジャクネンニンチショウ
若年認知症は、64歳以下で発症した認知症の総称です。18歳から39歳を若年期認知症、40歳から64歳までを初老期認知症と区分することもあります。ご本人は働き盛りで家庭の大黒柱であることから経済的な支援や就労支援を必要としていること、福祉サービスが高齢者向けに設計されていて若年認知症の方には必ずしも適切でないこと等の課題もあります。
<成年後見制度> セイネンコウケンセイド
認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、身の回りの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。また、自分に不利益な契約であってもよく判断できずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害に遭う恐れもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。成年後見制度は、大きく分けると、法定後見制度と任意後見制度の2つがあります。法定後見制度においては、家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)が、本人の利益を考えながら、本人を代理して契約などの法律行為をしたり、本人が法律行為をするときに同意を与えたり、本人が同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって、本人を保護・支援します。任意後見制度は、本人が十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ自ら選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で結んでおくというものです。そうすることで、本人の判断能力が低下した後に、任意後見人が、任意後見契約で決めた事務について、家庭裁判所が選任する任意後見監督人の監督のもと本人を代理して契約などをすることによって、本人の意思にしたがった適切な保護・支援をすることが可能になります。

詳しくは法務省ホームページ「成年後見制度」などを参照してください。
<センター方式> センターホウシキ
認知症になり始めの頃から最期を迎えるときまで、自宅にいても、施設・病院に移り住んでも、本人と家族の思いや暮らしを継続的に支えていくための関係者が一緒に使える共通な方法と仕組みを作りたいというケア現場の強い要望を出発点に、『新しい認知症ケア』に向けた認知症高齢者ケアマネジメントの開発が始まりました。そして「認知症介護研究・研修センター(東京・仙台・大府)」を中心に認知症ケアに関する研究者や現場のエキスパートの協働成果 として、「認知症の人のためのケアマネジメントセンター方式」が開発されました。
ケアマネジャーを要にして、本人と家族、ケア関係者が共通シートを使って互いの思いや実情、アイディアを出しあい、「本人と家族のよりよい暮らし」をめざして「やれること」を一緒に探りながらケアサービスをよりよくしていく方法です。
センター方式シートはA~Eまで5つのシート群に分かれています。必要なシートを選んで利用(他の方式と併用可能)してください。このシートは「いつどこネット」より無償でダウンロードできます。
「センター方式シート構成図」
<前頭側頭型認知症(ピック病)> ゼントウソクトウガタニンチショウ(ピックビョウ)
脳全体が萎縮するアルツハイマー病とは異なり、脳の前頭葉や側頭葉に限局した萎縮がみられます。前頭側頭型認知症と似た前頭側頭葉変性症という用語がありますが、後者は前者を含めたより広い疾患の概念になります。前者の代表的なものがピック病です。初期の頃から性格の変化と社会的なルールを守らないなどの社会行動の障害がおこります。病気になるまではきちんとしていた人がだらしなくなったり、万引きをしたり、暴力をふるったりする等、人が変わったようになります。アルツハイマー型認知症とは異なり、初期では記憶や見当識は比較的保たれています。ゆっくり進行してやがて認知機能も低下していきます。発症年齢はアルツハイマー型認知症より若い傾向があり、介護には多くの困難が伴います。原因は不明です。抗精神薬や抗うつ薬を必要とする場合があります。
<帯状疱疹>  
水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる接触性のウイルス感染症の一種。知覚神経の走行に一致して帯状に赤い発疹と小水疱が出現し、強い神経痛様疼痛を伴うことが多いです。皮膚症状が治まると痛みも消えますが、その後もピリピリとした痛みが継続することがあります。これを帯状疱疹後神経痛といい、この症状は高齢者に残りやすいといわれています。
<多発性硬化症> タハツセイコウカショウ
脳及び脊髄にわたって神経細胞はネットワークを作っています。多発性硬化症は、神経細胞のネットワークである神経繊維の鞘にあたる髄鞘が変性して脱落していく病気です。15歳から50歳に好発します。欧州北部、アメリカ北部に多く、日本を含めたアジア諸国では少ないとされています。症状は多彩で視力障害、運動麻痺、感覚の異常、運動失調(ふらついたり、歩くことが困難)等があり、長期にわたり軽快と再発をくりかえします。原因は不明です。治療薬としてはステロイドホルモン、ビタミン剤、葉酸の補給等が行われます。また、理学療法やリハビリテーションが必要です。
<多点杖> タテンツエ
3~4本の足で支える杖です。自分で立って杖なしでも多少は歩け、歩行器までは要らないが、ステッキでは頼りないときに使われることが多いです。 杖なしでは歩けない場合には、歩行器やロフストランドクラッチ(腕に装着して使用する片手用の金属製の杖)・松葉杖などが適しています。
<タクティールケア> タクティールケア
緩和ケアにおけるスウェーデン独特の療法です。タクティールという言葉は、「タクティリス(Taktilis)」から由来しており、「触れる」ということを意味しています。日本の指圧や手技療法、リフレクソロジーなどと違い、強く押す必要はなく、柔らかく包み込むように触れます。タクティールケアは、スウェーデンの医療の現場、認知症のデイケア、グループホーム、ナーシングホームで、認知症に対してのコミュニケーションツールとして用いられています。(㈱日本スウェーデン福祉研究所ホームページより)
<地域包括支援センター> チイキホウカツシエンセンター
地域包括支援センターは、地域包括ケア体制の中核機関として位置づけられています。その機能は、①高齢者の相談を総合的に各サービスにつなぐ「総合相談支援事業」、②虐待の早期発見・早期対応などを行う「権利擁護事業」、③困難事例の指導・助言や地域でのケアマネジャーのネット構築の支援を行う「包括的・継続的ケアマネジメント支援事業」、④介護予防事業におけるケアマネジメントを行う「介護予防ケアマネジメント事業」を担っています。運営主体は市町村ですが、市町村直営のものや、市町村から委託を受けて社会福祉法人や医療法人などが運営しているものがあります。
<中核症状> チュウカクショウジョウ
認知症で必ず認められる症状のこと。認知機能障害に関連する症状という意味で英語ではcognitive symptomsといわれることが多く、中核症状に相当する英語はありません。記憶障害、実行(遂行)機能障害、失認、失行、失語などがあるが、すべて目に見える症状ではなく、生活上に現れる変化としてみられます。
<摘便> テキベン
便秘で便が硬くなるなどして自力での排便が困難なときに、肛門から指を入れ、便を摘出する医療行為です。
<ドラッグロック> ドラッグロック
認知症のBPSDに対して向精神薬が用いられることがありますが、不適切に用いられると行動を制限することになります。身体拘束と同様に薬物による拘束という意味で用いられます。
【生活関連用語】
<姥捨山> ウバステヤマ
役に立たなくなった老人を子が山に捨てたという伝説から、組織などで、例えば年老いたためにあまり役に立たなくなったと判断された人などを配置換えする部署や地位の例えなどに使われます。
※本文は、「大辞泉」の用語解説をもとにしています。
<掛け軸> カケジク
書画を軸物に表装し、床の間・壁などに掛けて飾りとするものです。
※本文は、「大辞泉」の用語解説をもとにしています。
<小姑> コジュウト
夫や妻の姉妹のことです。
※本文は、「大辞泉」の用語解説をもとにしています。
<産炭地> サンタンチ
石炭を産出する(していた)地方のことで、我が国では製鉄産業の発達や鉄道網の拡大(蒸気機関車の活躍)などと共に石炭産業も発達していきました。第二次大戦後の経済復興の原動力として石炭産業も隆盛を極めました。北海道、福岡県などに多くの炭鉱がありましたが、エネルギー革命(石油への転換など)の影響で石炭産業は昭和40年代に入って急速に衰退していきました。
<尋常小学校(小学校尋常科)> ジンジョウショウガッコウ(ショウガッコウジンジョウカ)
明治時代から昭和時代の初等教育機関の名称で、現在の小学校に相当するものと考えてください。その上の中等教育機関として小学校高等科、中等学校などがありました。
<専業主婦> センギョウシュフ
結婚後、職業に就かず家事・育児に専念している妻のことです。
<とろくさい> トロクサイ
のろい、まだるっこいという意味です。
※本文は、「大辞泉」の用語解説をもとにしています。