地域と施設を結ぶ相互参加型介護講座(ケアケア交流講座)
◆尊厳のある生活を続けるために
2005年に内閣府が行った「高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査」の結果では、仮に介護が必要になった場合7割の高齢者が在宅生活を希望しています。 また、在宅生活を希望する人が多いにもかかわらず、介護が必要となったときに、その希望に応えて在宅生活を続けることが困難な現状にあります。
要介護状態になった高齢者が、住みなれた環境の中で、最後まで尊厳を保持してその人らしく生活を営むことを可能としていくためには、在宅向けの介護サービスの充実を はかることに加えて、介護に対する専門的知識・技術の提供等を支援し、家族の介護力を高めていくこと、またその結果として在宅介護を支援するためのサービスを効果的・効率的に 利用できることが重要であると考えています。
◆◆家族の不安、施設スタッフの不安
在宅で介護をする家族は、いつ終わるとも分からない在宅介護を、24時間続けることによって、大きな心身の負担を抱えている人も少なくありません。 また、介護をする家族は、介護サービスを利用するにあたって、要介護状態にある家族に対し誰が、どのようにケアをしているのかが不安になることもあると思われます。
一方、施設におけるケアに携わるスタッフには、「その人らしい生活」や「家庭的な雰囲気」のサービスの提供が求められています。 そのためには、施設生活の現状からの推測だけではなく、その人の在宅での生活を最もよく知る家族とのコミュニケーションから情報を収集し、一緒にケアのあり方について 考えていくことが、その人にとって、また家族、施設スタッフ相互にとってよりよいケアを実現する近道となります。
交流講座では、認知症高齢者をかかえる家族の悩み、不安を少しでも解消し、スタッフのよりよいサービスの提供を目指して行われます。
◆◆◆相互参加型介護講座の意義
①家族の3つの視点
どんな人が家族を介護しているかわかる安心感
介護家族が安心してデイサービスやデイケア、ショートステイなどの在宅サービスを利用するきっかけ作りとなります。モデル事業の結果から、施設入所については、 サービス提供スタッフが分かることによる安心感が得られるという家族の声も多数寄せられています。
技術・知識習得による介護負担の軽減
介護講座の参加によって、認知症の理解やケアのポイント、身体介助のポイント、制度の理解が深まることによって在宅介護の心身の負担が軽減することが考えられます。 また、介護をする家族同士の情報交換をすることによって、将来起こりうる事態を予測し、今後の対応を考えることが可能となる。
家族間の情報交換による家族間・地域連携の強化
モデル事業の成果として、交流講座をきっかけに家族会ができる動きがあったり、地域の住民と家族との関係が深まったという報告がなされています。
②介護スタッフの2つの視点
在宅生活の様子がわかる
施設を利用している家族と介護スタッフとのコミュニケーションが円滑になりケアに役立つ在宅の利用者の情報が得られます。 また、ケアを提供するスタッフが、認知症高齢者の在宅生活の様子や背景を直接聞きアセスメントに役立てることができる。
より深い利用者理解
利用者理解を深めると言うことは、その利用者のこれまでの生活全てを理解することです。 家族の思いを理解することによって、家庭的な雰囲気作りや環境作りに役立っていると言う報告があります。 デイサービスやデイケア時の高齢者と在宅における高齢者の様子の違いなどの本来の利用者の姿やニーズを知るきっかけになっているという報告もありました。 また、送迎の際の家族との接点をより親密にすることができるという意見も聞きます。こうしたことから、総合的な介護の実践力、専門性の向上に役立つと考えます。
③組織としての2つの視点
研修企画力・チームワークの向上
企画や運営を他職種、他ユニットのスタッフが協同することで、チームワークが醸成、強化されたという報告があります。 また、研修の企画能力の育成といった施設職員の資質向上に役立つという報告もあります。
地域との連携・地域への理解
地域住民への参加促しや、広報活動の過程で地域のとの関係作りが深まった、また、地域住民が多数参加し施設がオープンになったとの報告があります。
あわせて、施設の閉鎖的なイメージを払拭し、在宅介護から施設介護への円滑な移行のためのきっかけ作りにもなります。
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