・HDS-Rの変化 11点→8点
・セルシン服用は朝夕から1日1回朝のみに減った。
精神安定剤の服用量が変わったとのことですが、その前後の様子から、精神薬の服用量とAさんの言動の変化に関連性はありそうですか?
尿量減少、尿間隔が長くなり(8時間以上)、夕方セルシンを1錠減らすも効果不明。夜間不穏、ポータブルトイレの行き来を繰り返す。同時に膀胱炎症状が見られ、夕方セルシンの再開、マイスリー1錠、頻尿改善剤(ステープラ1錠)抗生剤(クラビット1錠)を内服し様子観察する。
膀胱炎症状は改善されるも、尿間隔は以前に比べ(12時間以上)開くようになったのでステープラを中止とする。精神安定剤服用時、3~4時間は熟睡できるようになる。その後の時間帯もポータブルトイレの行き来は減少した。日によっては、朝方~昼近くまで、体がくたくたで覚醒しないときがある。
(2)身体的痛み、便秘・不眠・空腹等による苦痛の影響は考えられますか?
・尿量の減少は24時間蓄尿にて1300cc出ていたが、夜間450ccと少ないときもある。
・便秘傾向なのでアジャストコーワを3日目朝に服用し排便。
・下肢の浮腫、足指の変形が強くなった。
・痛みが分からない。
下剤を服用した際には怒りっぽくなる、行動がせっかちになるなど、下剤と本人の言動には関連がありそうですか?
下剤を服用していない日もせっかちであるため、関連性はなさそうであるが、排便をもよおすとき、数回トイレの行き来や立ち上がりを繰り返すため、全くないとはいえない。
(3)悲しみ・怒り・寂しさ等の精神的苦痛、また本人の性格等の影響は考えられますか?
・自分が思うように動けない。
・制止される。
・危ないと注意される。
・せっかち・負けず嫌いの性格上、他人から抑止されるのは耐え難い。
Aさんの他者への関わり具合はいかがですか?
記載の性格以外に、人の役に立ちたい・手助けしたいなどの思いや言動はありますか?
食卓テーブルで隣同士の方やリビングで居合わせた方が、Aさんに話しかけても返答がない。思い込んだ食い違ったことを返答し、忠告に対して知らん振りしている。人の役に立ちたいといった言動は見つけられていない。「自分のことで精一杯か」との質問に対し、うなずいた。
(4)音・光・味・臭い・寒暖等感覚的な苦痛を与える刺激の影響は考えられますか?
・他者から話しかけられた事柄が、頭にこびりついて眠れない。
・夕食後、明かりが薄暗い。
・周囲の人影が感じられない。
Aさんのこれまでのライフスタイルは、どのようなものでしたか?
障害を持つ前にはどんな時間に何をして過ごしていたのか、その生活と現状とのズレは考えられますか?
夫が神経細やかでマイペースであった分、Aさんは自分自身の生活を我慢してきたのではないか。夫が入院し施設に入居した後、近場への外出をよくしていた。(家族より)
衣服は、外出着、おしゃれ着がほとんどで、現在の身体状況とのズレがある。
(5)家族・介護者など周囲からの過剰、あるいは少なすぎる関わりの影響は考えられますか?
・定期的に息子2人が面会に来るのはうれしい。
・同じことを繰り返し話している。
・他入居者の歌に同じように口ずさむ。
・スタッフが話しかけても知らん振りするが、聞こえていない状況ではない。
・スタッフが、常に気にしている(気にし過ぎ)。
・音が鳴れば、すぐAさんだと思い、注目する。
グループホームで生活するAさんに対して、家族はどのような思いを抱いていると思われますか?面会以外のかかわりの手段として、考えられること、協力を期待できそうなことはありますか?
家族との外出を依頼してみる。(まずはスタッフ同伴から)
元気だった母親の姿(毛染めやパーマ、おしゃれな眼鏡、おしゃれ着など)を持ち続けている。徐々に現実とのギャップを受け入れようとしている。面会時に、お手玉、あやとりなど一緒にしている。
(6)障害程度・能力の発揮に対して、住まい・器具・物品等物的環境による影響は考えられますか?
・リビングから、居室が遠い。
・自分の部屋の場所は理解している。
Aさんはグループホームでの暮らしをどのように意味づけていますか?
「私は、ここに泊まっている。おじいさん(夫)は、病院に行った。」と何度も話すことから、夫がいなくなったので一時的に入居しているが、自宅に帰ることは望んでいないと考えられる。今の生活に納得していない。
”Aさんにとってのくつろぎ”とは、どのようなものだと考えられますか?
布団に入って寝ること。夕飯後、「まあ、ゴロっと寝るだけだ。寝る。」と話す。(自室にてのんびり干渉されずに過ごす)
人に指示されたくない。自由に過ごすこと。
(7)要望・障害程度・能力の発揮と、アクティビティー(活動)とのズレによる影響は考えられますか?
・歩行が不安定なのに自分で好きなように歩きたい。
・ユニットの援助者側の都合で、排泄、食事、入浴の時間を誘導している。
・マンツーマンでそばでの見守り・介助としている。
・黙ったまま声を出さず、手だけでジェスチャーする。
グループホームでの生活で、Aさんが携わりたいこと、自身の能力の発揮とはどのようなものだと思われますか?
他者より早く先に、または勝ることや、自分で何でも行うことが満足感につながる。「私のやり方があるから、触らないで。」と昔はよく言っていた(家族より)。体操のときは積極的に参加している。
また、音楽も好きで手でリズムを取ったりする。カラオケで発揮できるかもしれない。
(8)生活歴・価値観等に基づいた暮らし方と、現状とのズレによる影響は考えられますか?
・季節によって、うつ傾向になった。またパーキンソン症状が出現したことがあった。
・1つのことを思い込み、いつもと違うことが起きると、パニックになった。(一人暮らしのとき)
・去年まで連れ添った夫は、死去したが聞かされていない。
入院していると思い込んでいる。
夫はマイペースゆっくり型タイプだった。
・入居時、朝晩読経していたのが、しなくなった。
Aさんは夫をどのような存在として捉えていますか?
そして、会えない今の状況をどのように捉えていると思いますか?
夫は病院に入院したと思っているが、会いに行きたいとは言わない。たずねても首を横にふる。以前たたかれた、怒られたと話した。
読経を行わなくなった要因として、どんなことが考えられますか?読経に対するAさんの思いはどのようなものですか?
入居当初は習慣となっていたが、徐々に経本を持たなくなり現在はパラパラとめくって指でなぞるが他者が唱えていても一緒に声に出さない。忘れてしまったのではないか。