個別訪問相談援助事業は、認知症ケアに課題を抱える介護保険事業所からの援助の申し出に応じ、認知症介護指導者等(本事業では、「認知症ケア援助者」といっています。)を事業所に直接派遣し認知症ケアの現場における課題を解決する為のヒントを提供することを目的としています。
平成21年7月に実施した13事業所からのアンケート結果を報告いたします。
13件の訪問事業所及び援助内容は下記の通りです。
訪問事業所種別 | 件数 | |
---|---|---|
1 | 訪問介護 | 1 |
2 | 訪問看護 | 0 |
3 | 通所介護(デイサービス) | 0 |
4 | 通所リハビリテーション(デイケア) | 0 |
5 | 短期入所生活介護(ショートステイ) | 0 |
6 | 養護老人ホーム | 0 |
7 | 有料老人ホーム | 0 |
8 | 軽費老人ホーム | 0 |
9 | 介護老人保健施設(老健) | 5 |
10 | 介護老人福祉施設(特養) | 1 |
11 | 介護療養型医療施設 | 0 |
12 | 小規模多機能型居宅介護 | 0 |
13 | 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 6 |
14 | 地域密着型特定施設入居者生活介護 | 0 |
15 | 地域密着型介護老人福祉施設 | 0 |
16 | 居宅介護支援事業所 | 0 |
17 | 在宅介護支援センター・地域包括支援センター | 0 |
18 | 宅老所 | 0 |
合計 | 13 |
援助内容 | 件数 | |
---|---|---|
1 | ケアの方法について | 10 |
2 | ケアの視点について | 9 |
3 | 認知症の理解について | 6 |
4 | 家族支援について | 5 |
5 | コミュニケーションについて | 4 |
6 | 認知症のためのアセスメントの視点・方法について | 9 |
7 | 具体的事例について | 3 |
8 | 住環境について | 3 |
9 | チームケアについて | 5 |
10 | ティーチング・コーチング | 1 |
合計 | 55 |
1.個別訪問相談援助事業を申請した理由 | 1 | 今のままの介護を続けることに限界を感じ、試行錯誤している状態で、方向性を見つけ出したいと思っていた。 | |
2 | 認知症介護の質がまだまだ未熟であり、対応が困難な方に対してのケア方法についてアドバイスを受けたく申し込んだ。 | ||
3 | 認知症ケアに関する研修に多くの職員が参加しているが、得た知識を現場で有効に活かすことが難しいと感じていた。認知症ケアの視点、アセスメントの方法を再度学び直し、職員全体のレベルアップを図りたいと思い申請した。 | ||
4 | 利用者とどのように向き合っていけばよいのか、上手なコミュニケーションのとり方について学びたいと申請した。 | ||
5 | 以下の3点の理由により申請した。
・開設間もない施設であり、介護未経験者が多く認知症の方との関わり方に不安を持っていた事 ・外部の講師を呼ぶことで専門的に学ぶことができる事 ・無料である事 |
||
6 | 認知症専門フロアをもっていながら、我々のケアはこれで良いのかという疑問と、病状の進行を少しでも遅らせ、利用者には穏やかで安定した生活をしていただく為。 | ||
7 | 改めて「認知症とは」「周辺病状への対応とは」を再学習したいと思い申請した。 | ||
8 | 自分たちがやっているケアに自信が持てず、色々と悩んでいた為、違った視点から何か良いアドバイスが頂けたらと思い申請した。 | ||
9 | 外部研修を受けに行くには、人数、時間などに制限があるが、訪問していただけるなら多くのスタッフが一堂に会し勉強する事ができる。 | ||
10 | 被害妄想が激しく在宅での生活に支障が生じ、施設入居となった方が、時間の経過と共に妄想が拡大し、他利用者にも影響が出始め、職員での対応に苦慮していたため助言を受けたく申請した。 | ||
11 | 報告・連絡・相談・対話に関することが円滑にいかないことがあり、アドバイスを頂きたく申請した。 | ||
12 | 外部研修を通じて、スタッフの閉鎖的になりがちな認知症高齢者に対するとらえ方を改善したいと思った。 | ||
13 | 施設において認知症の人が多くなり、職員がケア対応に悩んでいた。この機会を生かし全職員を対象に介護能力の向上をめざし申請した。 | ||
14 | 利用者の放尿・放便・つばはき・暴力等の行為に様々な取り組みをしてきたが、効果がみられず、専門的立場からの助言等を受けたいと思い申し込んだ。 | ||
2.個別訪問相談援助を受けた感想 |
[1] 良かった 13件
[2] どちらともいえない 0件
[3] よくなかった 0件
|
||
(上記[1]の回答理由) <良かった> |
|||
1 | シンプルでとてもわかりやすく、「ああそうなんだ、そうだよね。」と納得しながら学ぶことができた。私達のケアを見つめ直し、方向性を示してくれた内容であった。 | ||
2 | 困難事例に対し、単に答えを出すのではなく、答えを導き出す方法を教えてくれた。他の利用者にも応用できるので、現場で活かしていきたいと思う。 | ||
3 | 対応困難と感じている事例を通して、ケアの視点、アセスメントの方法など順序立てて説明して頂き、わかりやすかった。自分が行っているケアを振り返り、多職種の意見を聴くことで気づきを得て参考になった。認知症棟の介護職員にも多く参加してもらい、このような指導を受けられたらもっとよかったと思った。 | ||
4 | 利用者・家族から過剰なサービスの要求があった時のコミュニケーションのとり方を教えてもらった。仕事の中で生かしていきたいと思う。 | ||
5 | 疑似体験をすることで認知症の方の気持ちを少し感じることができた。その結果今まで気づかなかった、あるいは気づかないフリをしていた部分を掘りおこしてもらえたことから認知症利用者へのイメージが変わった。 | ||
6 | 施設では当然と思っていた個別対応の仕方について振り返ることが出来、改めて接遇の大切さを実感した。 | ||
7 | 時間も十分あり、ゆっくりと相談できて良かった。誉めて頂き、自信にもつながった。大変参考になった。 | ||
8 | 分かりやすく説明してくれた。又、こちらから話してもらいたいことを提示し、それに答えていただけたことが良かった。 | ||
9 | 視点を変えてケアをするヒントを得ることができた。 | ||
10 | 自分たちの問題点が確認できた。 | ||
11 | 援助者が同事業に携わっている人なので、管理者・スタッフ両者の立場を理解した上で、適切なアドバイスをもらえた。又、記録についての視点やとらえ方なども勉強することができた。 | ||
12 | 利用者の事例をもとにグループワークをしたので、より理論と実践が結びつき、認知症の人へのケアにいかされるものとなった。 | ||
13 | 利用者の昔の生活などの情報を知ることの大切さを改めて学びその方法も知る事ができたので、今後はできる事から始めたいと思う。 | ||
3.当事業について今後も機会があれば申請したいと思うか。 |
[1] 思う 13件
[2] 思わない 0件
|
||
(上記[1]の回答理由) <思う> |
|||
1 | 自分たちの中で学びが完結してしまわないよう外に学びの場がほしいので、機会があればお願いしたい。 | ||
2 | 援助者から的確な多くのアドバイスを頂けた。援助者の経験談も具体的でとても参考になった。 | ||
3 | 事業所に訪問していただき、その現場で悩んでいること、困っていることを相談できるので良いと思う。又、第三者的立場から職員を見ていただき、考え方の不足している部分を指摘してもらえるとレベルアップにもつながる。次回機会があれば、介護職にも多く参加させたい。 | ||
4 | 仕事をしていると多種多様の問題が次ぎつぎと出てくるので、相談援助の機会があれば次回もお願いしたい。 | ||
5 | 本事業は1施設1回となっているが、他のテーマ(利用者への関わり方・事例検討)でまたお願いしたい。 | ||
6 | 次回はOFJTでの参加を考えている。 | ||
7 | スタッフ以外の違う視点を知る良い機会になる。 | ||
8 | 非常勤者は、研修に出る機会が少ないため、今後ともこのようなチャンスを生かしていきたい。 | ||
9 | 継続的に実施すると、より一層有意義なものになる内容であった。 | ||
10 | 施設のスタッフだけでは対処できず苦慮していたので、今回受けたいろいろなアドバイスを介護現場で実行していきたいと思っている。 | ||
11 | 今回とても有意義な時間が持てたので、機会があればまた申請したい。 | ||
12 | 事業所に訪問してもらえるので、多くのスタッフが参加しやすい。 | ||
13 | 外部講師の指導ということで、スタッフが素直に理解しやすい雰囲気が生まれた。 | ||
14 | 援助者の知っているほかの事例とも比較して適切な助言をしてもらえた。 | ||
15 | 認知症の定義は理解していても、日常ケアの多忙さから、業務中心、職員中心のケアになりがちだった行動が研修を受けることにより、自分を冷静に見つめ直すことができ、ケアの原点に戻ることにつながった。 | ||
16 | とてもわかりやすい援助内容だったので、今回参加できなかったスタッフにも参加機会を与えたい。 | ||
4.その他当事業に対して意見や要望 | 1 | 1回の訪問では学びが十分とはいかないので、もう少し日数を割いてもらえるとうれしいと思う。 | |
2 | 援助者の方は柔軟に対応してくださったが、申込から訪問日までの間が長く、当初の相談内容とは異なってしまいもう少し短かければと思う。 | ||
3 | 認知症ケアの向上につながるとても良い事業である。相談援助を受ける側の準備(事例作成など)、会場や参加するスタッフなどの調整があるので、具体的な打ち合わせが事前にできると良い。 | ||
4 | 今後も機会があれば研修をお願いしていきたい。 | ||
5 | 勉強になった。 | ||
6 | 認知症専門フロアとしての質を上げる為(利用者の心地よさ)には日々学習が必要と思う。継続した訪問援助事業であることを希望する。 | ||
7 | 研修にもっとスタッフを出したいと思うが、業務を考えるとなかなか難しいのが現状である。本事業はそれを解決する上で有効なものと思う。 | ||
8 | このように個別に訪問していただけると沢山のスタッフが学習する機会が増えありがたいと思う。 | ||
9 | 援助者がとても分かりやすく、親しみやすい話し方で援助してくれた。具体的な例を取りあげ、質問に対しても理解しやすく納得できるものであった。訪問事業はシフトで動いている職場にはとてもありがたい。多くの職員の教育の場がもてた。 | ||
10 | 1回だけではなく、継続して活用できる事業にしてもらいたい。 | ||
11 | 援助者が、管理職・スタッフの両方の立場の心情を理解された上で援助を行い、とてもすばらしい研修となった。私をはじめスタッフも、何ができていて何ができていないか?と改めて考える機会を持つ事ができ、とても勉強になった。今後また、このような機会があれば、ぜひ継続して申請したいと思う。継続して研修を受ける際には、同じ講師の方に来てもらえると前回との比較などもしてもらえて、良いのではないでしょうか?また、研修前に、1~2時間、現場の状況を視察する時間をもうけてもらえるとさらに有意義なものになるのでは?とも思った。 | ||
12 | 当事業は研修の勉強会とはまた違う雰囲気で受けることができ良かった。 | ||
13 | 個別訪問相談援助事業を受け、他の事業所のケアはどんな風なのか、機会があったら見学し学びを深めてみたいと思った。 |