個別訪問相談援助事業は、認知症ケアに課題を抱える介護保険事業所からの援助の申し出に応じ、認知症介護指導者等(本事業では、「認知症ケア援助者」といっています。)を事業所に直接派遣し認知症ケアの現場における課題を解決する為のヒントを提供することを目的としています。
平成21年9月に実施した7事業所からのアンケート結果を報告いたします。
7件の訪問事業所及び援助内容は下記の通りです。
訪問事業所種別 | 件数 | |
---|---|---|
1 | 訪問介護 | 0 |
2 | 訪問看護 | 0 |
3 | 通所介護(デイサービス) | 1 |
4 | 通所リハビリテーション(デイケア) | 0 |
5 | 短期入所生活介護(ショートステイ) | 0 |
6 | 養護老人ホーム | 0 |
7 | 有料老人ホーム | 2 |
8 | 軽費老人ホーム | 0 |
9 | 介護老人保健施設(老健) | 1 |
10 | 介護老人福祉施設(特養) | 0 |
11 | 介護療養型医療施設 | 1 |
12 | 小規模多機能型居宅介護 | 0 |
13 | 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 2 |
14 | 地域密着型特定施設入居者生活介護 | 0 |
15 | 地域密着型介護老人福祉施設 | 0 |
16 | 居宅介護支援事業所 | 0 |
17 | 在宅介護支援センター・地域包括支援センター | 0 |
18 | 宅老所 | 0 |
合計 | 7 |
援助内容 | 件数 | |
---|---|---|
1 | ケアの方法について | 5 |
2 | ケアの視点について | 4 |
3 | 認知症の理解について | 4 |
4 | 家族支援について | 0 |
5 | コミュニケーションについて | 0 |
6 | 認知症のためのアセスメントの視点・方法について | 4 |
7 | 具体的事例について | 2 |
8 | 住環境について | 1 |
9 | チームケアについて | 4 |
10 | ティーチング・コーチング | 1 |
合計 | 25 |
1.個別訪問相談援助事業を申請した理由 | 1 | 認知症介護の困難事例をもとに、最新の介護方法を学びたく申請した。 | |
2 | 開設して数年だが、他施設から移って来た者、経験が浅い者など多くのスタッフが入りまじっており、チームワークや認知症ケアの基礎知識に課題を感じていた。また、経験者でもアセスメントの意味が理解できていない者もおり、思いつきのケアになっているのではないかとの思いがあった為申請した。 | ||
3 | 認知症や精神疾患、不定愁訴を繰り返す方等が多くなり、認知症の基本的理解だけでは対応が困難と感じる場面が多く見られるようになった。結果、対応に苦慮し、精神的疲労を訴える職員が増えてきたので申請した。 | ||
4 | 介護スタッフ間における認知症ケアに対する認識を深めて行きたいと考えた。 | ||
5 | 外部講師による学びの機会を増やしたい。 | ||
6 | 長期療養生活のなかで利用者の認知症の状況が日に日に重度化しているのが現状である。その様な状態で認知症ケアを実践しているが、利用者個々の認知症の違いからチームとしてケアが統一できない。また、ケアの方法が分からないなど知識不足から対応に悩むスタッフがおり、今回良い機会とこの事業に申請した。 | ||
7 | 役場からの知らせであり、かつ無料であったこと。 | ||
8 | 重度認知症の対応の仕方が知りたかった。 | ||
2.個別訪問相談援助を受けた感想 |
[1] 良かった
6件
[2] どちらともいえない
1件
[3] よくなかった
0件
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(上記[1]の回答理由) <良かった> |
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1 | 介護現場に即した助言で、職員の満足度は高かった。 | ||
2 | 専門的知識や他施設の事例なども取り入れたもので分かりやすく、各スタッフが抱える課題の解決へのヒントになった。この課題解決のステップを1つずつ超えて行くことで介護(他職種も同様)として成長していくのではないかと思う。 | ||
3 | 本質が見えにくい状況の中で改めて初心に返り、何が大切なのかに気づくことができた。 | ||
4 | 認知症ケアの環境のあり方、利用者との接し方のポイントや認知症をどのように理解し接していくのか等、具体的に事例をあげての説明であった。研修参加者からは「視点を変えることで、今日からでも出来る」「新たな気持ちで関わっていきたい」など高い評価が得られた。 | ||
5 | 複数の施設を運営しており、記録のシステムについてもそれぞれが工夫を重ねてきており、それ故なかなか統一することができないでいた。今回認知症ケア援助者のアドバイスを受け整理することで、道筋をみつけることができた。 | ||
6 | 当事業で開発された思考展開シートを使ってわかりやすく説明していただけた。 | ||
(上記[2]の回答理由) <どちらともいえない> |
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1 | 1回のみではなく、最低でも2~3回にわたった継続した事業であるべきだと思った。 | ||
3.当事業について今後も機会があれば申請したいと思うか。 |
[1] 思う
7件
[2] 思わない
0件
|
||
(上記[1]の回答理由) <思う> |
|||
1 | 良い内容の研修であっても時が経ち、日々の業務に追われていると忘れがちになるので、できれば毎年でも機会があれば申請したい。 | ||
2 | 毎日の業務に追われ、認知症ケアに悩み、認知症ケアのテクニックを知りたいと感じる職員が多くいる中で、テクニックではなく、その人を良く見て、その人の声を良く聞いてという基本的なことが失われがちになる。今回は、原点に立ち返ることができた。今後も機会があれば全職員を対象として受講させたい。 | ||
3 | 今後の取り組みが更に改善された後に、改めて訪問していただきたい。 | ||
4 | 「センター方式」に関するレクチャーの機会に乏しいので。 | ||
5 | 認知症ケア等の研修・勉強会を定期的に実施しているが、当施設の特徴を捉えた研修が行えていなかった。今回、認知症ケアの視点・方法・チームケア、具体的な援助方法など現場での課題・スタッフの悩みなど研修を通して多くのヒントをいただき、職員に「認知症ケア」のあり方が周知できた。今後もこのような機会があれば申請したい。 | ||
6 | 今回記録アセスメントを重点的にお願いしたが、日常の中で色々な事に疑問をもっていた。しかし、解決方法を知らないのでそのままにしていたところがあった。今回医療行為における課題・看取りについて等相談できたことはとても良かった。 | ||
7 | 他の職員にも伝えていただきたい。 | ||
4.その他当事業に対して意見や要望 | 1 | 介護現場目線の意見で、職員の理解が得やすかった。 | |
2 | 経費がかからないのが良かった。 | ||
3 | 今回21名のスタッフが参加することができた。外部研修なら1日にこれだけの人数は出せないので訪問という形は施設にとっては有難い。 | ||
4 | 最初の申請から希望確認などのやり取りがちょっと面倒だと感じたので簡素化できれば良いのではと思った。 | ||
5 | 大変参考になった。今後も当事業を継続して頂きたい。 | ||
6 | 向き合うのは利用者であると分かっていても、実際のケアの現場では出口のない長いトンネルに迷い込んだ状態であり、業務に追われることに対して疑問や不満があった。ストレスが増し、疲れて耐えられないと感じていた中での今回の個別訪問相談援助だった。恥ずかしいのだが、お話を聞いて、涙が止まらなかった。認知症ケア援助者は、施設の特性などを熟知され、私たちにとても共感してくれた。そして私自身の感じていた不安や不満は、どこからきているのかを、整理することができた。「その人を良く見て」「その声を良く聞く」という事が不足していた。利用者の難しいことばかりに目を向けずその方に共感することを忘れず前進したいと思う。このような機会を設けていただき、ありがとうございました。 | ||
7 | サービスの質向上に対する「評価」の制度は拡充されて来ても、教育の機会は乏しい。今後に期待したい。 | ||
8 | 認知症ケア援助者は長年現場を経験されており、認知症ケアのあり方について、利用者をどのように理解し接して行くかなど具体的な例をあげて説明してくれ、職員の質向上が図れた。私どもと同じような課題を持つ施設は多くあると思う。今後、多くの施設に派遣されるよう希望する。 | ||
9 | 「個別訪問相談援助事業」はとてもすばらしいことだと思った。他の研修に参加してもなかなか講師の方に直接聞くことはできない。今回のように身近な場で相談することにより考える幅がとても広がった。 |