個別訪問相談援助事業は、認知症ケアに課題を抱える介護保険事業所からの援助の申し出に応じ、認知症介護指導者等(本事業では、「認知症ケア援助者」といっています)を事業所に直接派遣し認知症ケアの現場における課題を解決する為のヒントを提供することを目的としています。
平成22年6月に実施した17事業所からのアンケート結果を報告いたします。17件の訪問事業所及び援助内容は下記の通りです。
訪問事業所種別 | 件数 | |
---|---|---|
1 | 訪問介護 | 1 |
2 | 訪問看護 | 0 |
3 | 通所介護(デイサービス) | 4 |
4 | 通所リハビリテーション(デイケア) | 0 |
5 | 短期入所生活介護(ショートステイ) | 0 |
6 | 養護老人ホーム | 0 |
7 | 有料老人ホーム | 1 |
8 | 軽費老人ホーム | 1 |
9 | 介護老人保健施設(老健) | 4 |
10 | 介護老人福祉施設(特養) | 4 |
11 | 介護療養型医療施設 | 0 |
12 | 小規模多機能型居宅介護 | 1 |
13 | 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 1 |
14 | 地域密着型特定施設入居者生活介護 | 0 |
15 | 地域密着型介護老人福祉施設 | 0 |
16 | 居宅介護支援事業所 | 0 |
17 | 在宅介護支援センター・地域包括支援センター | 0 |
18 | 宅老所 | 0 |
合計 | 17 |
援助内容 | 件数 | |
---|---|---|
1 | ケアの方法について | 8 |
2 | ケアの視点について | 9 |
3 | 認知症の理解について | 9 |
4 | 家族支援について | 1 |
5 | コミュニケーションについて | 1 |
6 | 認知症のためのアセスメントの視点・方法について | 5 |
7 | 具体的事例について | 4 |
8 | 住環境について | 2 |
9 | チームケアについて | 5 |
10 | ティーチング・コーチング | 1 |
合計 | 45 |
1.個別訪問相談援助事業の申請理由 | 1 | 数年前に開設した施設であるため、職員一人ひとりに認知症に関する研修を受けてもらうことができていなかった。外部から援助者を招き、個々の職員はもとより、施設全体がスキルアップできるような取り組みを行いたかった。 | |
2 | BPSDへの対応について色々な面からアドバイスを頂くことができればと思い、申請した。 | ||
3 | 何らかの認知症がある利用者が増えている。各種の研修等を受け、認知症についての理解はできているが、業務優先になりがちで、ケアの視点がずれていると感じていた。また、一度入所してしまうと在宅復帰が難しい。認知症ケアの視点を理解し、適切なアセスメントや、家族を含めたケアができるようになりたい。 | ||
4 | 認知症介護指導者研修、リーダー研修修了者が一人もおらず、認知症のある利用者への対応、接遇ができていない。認知症ケアも統一されておらず、職員の私語も多く、認知症のBPSDも理解できていない職員が多い。 | ||
5 | 認知症の方と他者との利用者どうしのトラブルがあったり、職員の対応時間が多く他に手が回らなかったり、困っていることが増えてきたため、気づきを学びたい。 | ||
6 | 認知症を踏まえたサービス提供は、高齢者介護を実践する上でとても重要であるものの、研修等での学びの機会が少ない。 | ||
7 | 認知症ケアの視点を学びたい。 | ||
8 | 認知症ケアの方法についての理解を深めたい。 | ||
9 | 指導方法を学びたい。 | ||
10 | 認知症について、職員が自己研鑽で勉強する以外勉強の機会がなく、日中の研修へ参加することも難しいため、施設に訪問してもらえて、夜間に勉強の機会がもらえるなら・・・と思い申請した。 | ||
11 | 認知症の理解を深め、サービスの質の向上につなげたい。 | ||
12 | 専門的な知識を学び、認知症の方への対処法に対応していきたい。 | ||
13 | 認知症専門棟はないが、行動障害等何らかの支障をきたしている方が多いため、ケアに試行錯誤している。職員は個々に研修会や勉強会に参加をしているが、なかなか現場に活かせていないのが現状。外部から援助者に来て頂き、現場での意見交換をすることで職員の視点の変化やケアの実践につなげたい。利用者本位のケアに近づけたいと思い申請を行った。 | ||
14 | 今年度よりセンター方式のアセスメントの導入を行っており、情報をどのようにケアプランやケアへ取り入れていけば良いかの助言を頂きたかった。個別ケア、チームケアの実践方法に行き詰っていた。 | ||
15 | 利用者のほとんどが認知症であるため、環境整備や関わり方、進行予防レクリエーション等について学ぶことで、より適切なケアができると思った。 また、困難事例について相談させて頂くことで今後のケアにつなげたいと考えたため。 | ||
16 | 認知症の方を支える家族が負担を抱えているケースが多く、事業所としてどのように支えていったら良いのか、専門家のアドバイスを聞きたく、申請した。 | ||
17 | スタッフが認知症ケアに対する同じ視点や考え方、また同じ目標を持って統一したチームケアができればと考え申請した。また、介護を行う上でのスタッフのストレスが課題であり、そのストレスケアや認知症の家族へのケアの方法も学びたく申請した。 | ||
18 | 利用者のほとんどが認知症を患っており、時には自分の理解の枠を越えた行動をする方もいて、その対応に戸惑っていた。これは介護をする人すべてが、同様に思っているのだろうと介護の現場を見て感じており、もっと認知症の方を理解し現場で起こっている様々な問題の解決のヒントが欲しいと思い申請を行った。 | ||
19 | 認知症の理解を皆にしてもらい、現場で実践し、今より一つでも良いケアをしたかったので申請した。 | ||
20 | 入居者の半数以上が認知症であり、日常的に問題行動によるトラブルが発生しているため、指導を得て、ケアの質を向上させたいと考えた。 | ||
2.個別訪問相談援助を受けた感想 |
[1] 良かった
17件
[2] どちらともいえない
0件
[3] よくなかった
0件
|
||
(上記[1]の回答理由) <良かった> |
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1 | 新人から責任者まで様々なポジションの職員が参加したが、講義内容も分かりやすく説明していただき、受けた職員のレポートを見ると、それぞれに受講前と違い、「この研修を活かして、より良い援助をしよう」という向上心が見られた。 | ||
2 | 介護者の本人への関わり方の再確認とアドバイスを受ける中で今後の対応を考えることができた。 | ||
3 | 本人だけの問題ではなく、人(介護者)も環境になっていることや、認知症の進行、内服薬等も考えなければとのアドバイスを受けた。 | ||
4 | 人は在宅で暮らすのがベストと考えていたが、それは条件による。環境が整っていない状態での在宅では、ある面、虐待やネグレクトにつながってしまう可能性もあるという気づきができた。利用者のみならず、家族も一緒にケアしていく必要性を感じた(認知症の症状、介護方法等)。今回「ひもときねっと」について早くから教えていただき、職員が利用してみて、自分たちのケアの片寄りや思い込みに気づき、利用者の情報収集をしっかりしなければ、利用者本意のケアプランは立てられず、ケアはできないことを学んだ。 | ||
5 | 現場での利用者の表情、写真、具体的な取り組み、認知症の基礎的知識も講義していただいたので、職員の評価も大変良かった。 | ||
6 | どの事例にも共通する考え方など、教えて頂けて良かった(事実という情報が少なかったことに気付けた)。参加した職員にいろいろ考えてもらえるような研修になったので、大変勉強になった。 | ||
7 | 援助者の実体験を踏まえ、実際のサービス提供場面を映したDVD等を見ながらの内容であり、共感や共有が多くあり、理解しやすい研修であった。 | ||
8 | 事例検討ではアセスメント方法だけでなく、職員同士の思いを話し合うこともでき、良い学びの機会となった。チームで話し合い、考えを共有することの大切さを学べた。 | ||
9 | 多くの職員に施設外の研修へ参加してもらいたいが、なかなかできないのが現状。今回多数の職員が参加できた。 | ||
10 | とてもわかりやすく入居者に対する見方、角度を変えての見方、受け取り方など話をして頂いた。また、当施設の課題も投げかけて頂き、今後の方向性についてヒントを頂けた。 | ||
11 | 援助者の話は、日々の実践の経験を交えながらわかりやすく、ユーモアある説明で良かった。さまざまなサービス形態があり、それぞれのサービスの視点などの違いがわかり参考になった。このような勉強会ができ、嬉しく思う。 | ||
12 | 短い時間ではあったが、ワークシートも使用し、また援助者の実際のケアの実例等も盛り込んで頂き、参加者も理解しやすい研修であった。もう少し時間を取ることができれば良かった。 | ||
13 | わかりやすい講義により日常のケアの方向性が再確認できた。困難事例の相談の際には同じデイサービスに携わる者としての目線でアドバイスを頂くことができ感謝している。 | ||
14 | 家族への支援方法も具体的に教えて頂くとともに、まずは本人を支えるという基本的なケアの視点をふり返る事ができた。今回の相談で得た考え方は様々なケースにあてはまるものであり、とても有意義だった。 | ||
15 | 教えて欲しいことをポイントをおさえて、分かりやすく説明してもらえた。認知症の基本的な理解やケアの考え方を知ることでチームケアとしての意識の統一もできてくると思う。また、ひもときワークシート、思考展開シートにより、ご本人をよく理解することで、その方が本当に必要とするケアの方法が分かってきた。今後も活用していきたい。 | ||
16 | 個別訪問相談援助後、参加者にアンケートを実施したところ、認知症の方が発しているメッセージを見落としていると痛感した、認知症の方に対して、申し送りで平気で"問題行動"という言葉を使っていた、認知症だからという思い込みで本人ができること、伝えようとしていることを私達ができないようにしてしまっていた等々、自分達が行っている業務、姿勢に気づきの声が多く寄せられた。 | ||
17 | 認知症の理解からICFの話もして頂き、援助者の経験等も交え援助頂き非常にありがたかった。 | ||
18 | 学習内容が日々のケアで体験していることとつながり、良い学びとなったと思う。 | ||
19 | 利用者と向き合うことの大切さを改めて感じた。また、自分自身の感性を大切にしながら、日々の業務に取り組み、一日を大切に過ごすことが、自分と利用者にとって大切と感じた。他の職員がどのように感じているのか確認・知ることも重要であると確認できた。 | ||
20 | 根本を探ることで、本人が何をしたいのか、何が必要なのか、そこから考えを起こさないと解決に結び付かないことが分かった。自分達が今までやって来たことをもう一度振り返り、よいケアにつなげて行きたいと思った。 | ||
21 | 認知症ケアは、共感と受容が大事だと言われるが、それだけではケアになっていなかったことに気付かされる勉強会だった。職員一人ひとりの思いだけでなく、情報を集め共有しケアすることや、自分自身の感性を磨くことの大切さを強く思った。心から認知症の方に寄り添える職員になれるよう努力しなければと思い知らされる毎日。援助者の話は素直に受け止めることができた。 | ||
22 | 認知症は、幅広く学ばないといけないので難しい分野もあったが、援助者の話し方(例え方)がわかりやすくて勉強になった。五感でいかに相手に伝えるのか、よりリアルに伝わるよう努めたい。利用者同士の問題は、他のスタッフと連携して少しでも「嫌な思い」を利用者から取りのぞけるよう自分も学んで行きたい。 | ||
23 | 利用者の訴えに対し直接的な返事をするばかりではなく、その裏に秘められているサインを見逃さず、少しでも利用者の思いを受け止めることができるよう努めたい。感動、感激を大切にし、一日一回感性をみがく訓練をして、自分の思い込みでなく、これまでの利用者の情報を知り、本人の思いに答えていきたい。 | ||
24 | 入居者は人生の大先輩であることを改めて実感した。その人が、その人らしく一日を過ごすことの大切さ、また、言葉をきちんとわかりやすく伝えないと、相手には伝わらないので、相手に寄り添って今何を考え、感じているのか理解し、コミュニケーションを取る必要があると思った。 | ||
3.当事業について今後も機会があれば申請したいと思うか。 |
[1] 思う
17件
[2] 思わない
0件
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(上記[1]の回答理由) <思う> |
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1 | 内部研修はある程度行えているが、外部から講師を招く研修は少ない。しかし、参加した職員の反応をみると、どの職員も「受けてよかった」という感想を持っている。今後もぜひお願いしたい。 | ||
2 | アドバイスを受けることで、自分達では気がつかないことに気づいたり、広い視野を持つことができるようになると思った。 | ||
3 | 利用者の高齢化や、職員の入れ替わりにより状況が変わってくるため悩みは尽きないが、個別訪問相談援助を受け、細かいことまで相談できて良かった。 | ||
4 | 今後認知症の利用者も増加していくので、こういう取り組みはぜひ今後も継続して実施してほしい。 | ||
5 | 認知症に関するたくさんの事例を聞き、考えたり、ワークシートを使って勉強してみたい。 | ||
6 | 実経験のある外部の方から様々な事例を基にした話を聞くことで、自分達の仕事をより客観的に見つめることができるから。 | ||
7 | 認知症の新しい情報を得るよい機会になった。 | ||
8 | 多くの職員が参加できた。 | ||
9 | 援助者から適切なアドバイスを頂けた。 | ||
10 | 職員を日中研修へ送り出すことが難しいため、夜間に訪問してくれることがありがたい。 | ||
11 | 認知症の理解を深め、今後の仕事につなげていきたい。 | ||
12 | 施設内でのスタッフ研修では概論のみとなり、個別への援助方策までなかなか進めていけない。今回のように「認知症」という枠にとらわれず、利用者個々の思いをケアにつなげるという、その方の人間像を把握することの機会を忘れずに持てるようにしたい。 | ||
13 | 外部研修へ参加することが難しく、援助者が施設へ出向いて下されば、多くの職員が研修へ参加し、新しい知識を取り入れることができる。 | ||
14 | 講演会や研修会の機会が少なく、他市に出向くには費用も時間もかかる。訪問して頂き職員全員で参加できるすばらしい機会だった。 | ||
15 | とても勉強になった。より認知症ケアを知り、現場に活かしていけるように、定期的な研修として活用できればと思う。 | ||
16 | 他部署の職員や、他職種の職員にも認知症の方の理解を深めてもらいたい。 | ||
17 | 再度訪問してもらい、学んだことを一つでも多く現場での実践につなげたい。 | ||
18 | 今回の学びを活かしたケアができているのか不安である。 | ||
4.その他当事業に対して意見や要望 | 1 | 管理者としての立場からの相談もできると良い。研修等に参加するとたいへんモチベーションが上がる。 | |
2 | とても良い取り組みなので年に1回は相談援助して頂けると良い。また、相談援助できる指導者の教育もしていかなくてはニーズに対応できていないのが現状ではないか。実際に現場で困っている事例を取り上げて考え方を気づかせて頂けたので、職員も方向性が見え、やる気になった。研修の場が少ない地域のため、このような機会は大変ありがたい。「ひもときねっと」等も参考にして、今後も全職員で勉強していきたい。 | ||
3 | 外部の方から話を聞くことは自分達の振り返りにつながると感じる。同じテーマで内部で研修を開催しても、新鮮さや客観性に欠け、率直な受け取りがされにくいと感じるので、個別訪問相談援助を受けるチャンスが増えることを希望する。 | ||
4 | アセスメント方法等、他施設での方法を知ることができた。外部からの客観的な意見を聞く事ができ、参考になった。 | ||
5 | 今回のように話を聞くことと、お互いが意見を言い合う時間がある研修が良い。 | ||
6 | 援助者とも初対面だったので、援助の内容など、事前にもう少し詰めて話し合いを持てれば良かったと反省している。 | ||
7 | 事業所内での勉強会は毎年行っており、理解は少しずつついてきていると思うが、具体的な事例を挙げ対処法を学ぶなど、次回の課題も見えた。このような事業は良い機会なので、今後とも継続を希望する。援助者を増やし、普及して頂けると良い。 | ||
8 | 現在の施設ケアでは人員不足、事故回避等の問題にて個別性を尊重したケアができておらず、さびしさを感じている。現状の中でよりよいケアができるように、また情報収集や相談をさせて頂きたい。 | ||
9 | 個別訪問相談援助を受け職員にとって良い刺激となった。当事業で開発された「ひもときシート」を記入はしたものの、どの様に活用していけば良いか悩んでいたため、参考になった。 | ||
10 | 事業所ごとだけでなく、その地域の業種ごとなど、もう少し大きな規模でも良いので、こういう相談援助を今後も継続して頂けたらと思いう。 | ||
11 | 今後もこの事業を継続して頂きたい。今後ますます、認知症高齢者が増加していくが、スタッフの人員に余裕がないため、外部研修に出られないのが現状。是非、このような機会を増やし、職場のレベルアップのアドバイスをして頂きたい。 | ||
12 | 現場で起こっている個々の問題に対し、もっと手軽に電話やメールで対応していただけるシステムが欲しい。 | ||
13 | 今後も機会があれば是非お願いしたい。 |