3年程前から、物忘れ・廊下を歩き回る・昼夜逆転などが頻繁になった。当初は日中かなり動きが活発で、視力の弱いAさんを、常に見守りを行わなければならない状態であったが、1年程前から動きが減少し、移動は職員の歩行介助による誘導、食事も一部介助を必要とする状態となっている。
認知症が進行しているAさんに、今後の生活を充実したものにしてもらうために何が必要か。
本人の気持ち(感情)に寄り添う。。
年 齢 | 80歳代前半 |
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性 別 | 女性 |
職 歴 | 工場に勤務するが、短期間で辞職。その後、障害者福祉施設内で縫製作業を行う。 |
家族構成 | 4人兄弟。障害者福祉施設に入居するまでは、母親・兄夫婦・姉と同居していた。現在は別の障害者福祉施設で生活している。 |
認知機能 | 測定未実施 |
要介護状態区分 | 要介護認定は受けていないが、療育手帳区分:A1 |
認知症高齢者の日常生活自立度 | 判定を受けていないため、不明 |
既 往 歴 | 乳がん、白内障、網膜色素変性症 |
現 病 | 貧血、認知症(はっきりとした診断は受けていないが、CT撮影ではかなりの脳の萎縮が確認されている) |
服 用 薬 | アリセプト、フェロミア、カリクロモン、オパプロスモン、セロクエル、アモバン、アタラックス |
コミュニケーション能力 | 生活に必要なある程度の会話をすることができるが、「口を開いて下さい。」という声掛けをしないと、口を閉じたままモゴモゴと話す。視力が弱いため、言葉でのコミュニケーションが中心である。 |
性格・気質 | とても穏やか。のんびりしているため、他者から威圧的な態度を取られることがある。 |
A D L | 食事はほぼ自身で取ることが可能だが、視力が弱いため食べ残しがあり、その際は職員が一部介助を行っている。また、食事の途中で手が止まる(恐らく食べていることを忘れてしまっている)ことがあるため、近くで職員が見守りを行っている。 |
障害老人自立度 | 判定を受けていないため、不明 |
生きがい・趣味 | 認知症症状が出る前は、裁縫・漢字の書き取り。現在は音楽鑑賞。 |
生 活 歴 | 4人兄弟の次女。乳児期に風邪をこじらせ肺炎を患う。生死をさまようほどの重体であり、その際に脳に障害を負ったとのこと。のんびりとして、穏やかな性格で皆に好かれていた。幼い頃から裁縫をしていたが、本人が好んでやっていたというよりも、母親が何か特技を、という意味で行わせていたようである。学校を卒業後、工場に勤務するが短期間で辞職。 障害者福祉施設に入居する。施設では、縫製や自動車部品のクリップの手曲げ作業などを行っていた。無口でおっとりしており、一人でボーッと過ごしていることが多かったため、「趣味を持たせる」という指導目標があり、裁縫・あやとり・縄跳び(近視があり目が悪くなるという理由で戸外での活動を勧めていた)などをしていたが、後々まで残ったのは裁縫であった。 行動は皆より遅れ気味で、自ら進んで行うよりも、他者に連れられて行動する。初めてのこと、未知のことに関しては、自主性はないが、習慣化されたものは進んで参加し、コツコツと地道に行うことができた。10年程度この施設に在籍し、その後現在の障害者福祉施設に入居する。入居から30年近く経った3年程前から認知症と思われる症状が現れ、現在では動きも減り職員の一部介助が必要な状態となっている。 |
人間関係 | 他県にいる姉が身元引受人となってから、年5回ほど親族数名で面会に訪れたり、外出したりしている。姉からはたびたび手紙や衣類などが届く。 施設内では、穏やかでのんびりしている性格のため、他者に世話をしてもらったり、時には威圧的な態度を取られたりすることがある。 |
本人の意向 | のんびりと好きなことをして暮らしたい。 |
事例の発生場所 | 障害者福祉施設 |