現病として、レビー小体型認知症があり、体温調節ができず、発汗が多い。体調を崩しやすく、風邪をひきやすい。発熱を繰り返す。薬はリーゼ、抑肝散を服薬中。現在、副作用はない。
									
									
									誤嚥のために歯科医もかかわっていますが、リーゼなどの安定剤の服用(抑肝散は別としても)について医師から定期的な指示はありますか?
									
									
									月1回の往診時に相談しています。発熱時に飲む薬、呼吸時にヒューという音がするときに貼るテープが出ています。皮膚が弱いためにテープを貼るとすぐ赤くなるので、現在テープは使用していません。
									
								 
								
									(2)身体的痛み、便秘・不眠・空腹等による苦痛の影響は考えられますか?
									
									
								 
								
									・幻視、幻聴、パーキンソン症状と手のこわばりがある。
 ・排尿・排便・おならが気になる思いで不快がある?
										
 ・ほぼ毎日、昼食後にトイレで排泄(摘便介助)し、排便がないときはイライラしている様子がある。子宮脱のために排泄が困難で3年前に手術を受けたが改善しなかった。
										
 ・日中に排便がないときは夜間や朝食後にオムツ内に便失禁することあり。眠りが浅いこともある(眠っているかと思うとコソコソ独語あり)。
									
									
									
									パーキンソン症状にともなう便秘など、コントロールが難しいと思いますが、睡眠が取れて排便がスムーズにできる日は何日に一度ぐらいでしょうか?
									
									
									ほぼ毎日、排便があります。昼食後にトイレにゆっくり座って腹部マッサージと肛門を開いて、必要な場合は座薬や摘便の支援を行って、ほぼ毎日の排便です。
 臥床時の排尿はいつの間にか失禁していて、日中は1~2時間で、夜間は3時間程度で交換しています。食事中に座位を取っているときの突然の大声は、排尿するときに重なるような感じがします。
									
									
								 
								
									(3)悲しみ・怒り・寂しさ等の精神的苦痛、また本人の性格等の影響は考えられますか?
									
									
								 
								
									・突然表情が険しく口調が強くなったと思えば、何もなかったように笑顔になる(たぶん、気分の変化が激しい)。
 ・本人が冗談を言ってスタッフを笑わせ、本人の表情が(目を大きくあけたり、にっこり笑ったり、口をへの字にする)変化するなどユニークなところがある。
										
 ・一人だと寂しくて、どうしたらいいのか分からない。
									
									
									
									急激な気分の変化、不安感などはこれまでにAさんが強迫性を持っていたこと、認知症が進んできたこととも関係がありそうですが、機嫌の良いときと悪いときの比率はどの程度ですか?
									
									
									食事、睡眠が取れて排泄がスムーズだととても穏やかで機嫌がよいです。食前に離床してもしっかり目覚めているときや、便やガスがたまっているときに機嫌が悪いと思います。「口を開けて」と頼んでも開けないので食事介助できず、Aさんは焦って首を左右に激しく振ってイヤイヤという様子になり、大声をあげるため他利用者の非難の的になります。リビングでの食事(昼夕)は機嫌が悪い結果になることもあります。
									
								 
								
									(4)音・光・味・臭い・寒暖等感覚的な苦痛を与える刺激の影響は考えられますか?
									
									
								 
								
									・音に敏感で音楽が好き。夜間の物音で覚醒して「なに?」と言う。
 ・寒さや暑さが苦手。
										
 ・目が不自由で眼鏡は若いころからかけているが、それでもほとんど見えていないと思う。
										
 ・おいしい味は理解して「おいしい。」「味がいい。」と言う。まずいものは嫌がる。
									
									
									
									どの感覚に働きかければ、Aさんは最も安定して落ち着くと思いますか?
									
									
									音楽を聞きながらの臥床が一番落ち着きます。他入居者の歌う声や、ベッドサイドのカセットから聞こえる音楽に合わせて手拍子やハミングをしています。また、毎日の入浴後に循環促進の意味でメンソレータムを塗るのですが、塗ると小さな声で「ありがとう。」と言います。
									
								 
								
									(5)家族・介護者など周囲からの過剰、あるいは少なすぎる関わりの影響は考えられますか?
									
									
								 
								
									・長女が毎週木曜日に面会し、昼食を一緒に食べる。
 ・娘の名前を呼ぶことが多く、「Bちゃ~ん」「Cちゃ~ん」
									
									
									
									現状やこの先のケアについて、長女はどのような希望を持っているのでしょうか?
									
									
									今のケアにとても感謝してくれています。このまま好きな音楽を聞きながら、笑顔で過ごしてほしいと願っていると思います。
									
								 
								
									(6)障害程度・能力の発揮に対して、住まい・器具・物品等物的環境による影響は考えられますか?
									
									
								 
								
									・食事・入浴・トイレのとき以外は臥床している。
 ・居室は自宅から持ってきた机やたんすが置かれていて、デザイナーだった夫の作品や自分で書いた習字の作品が飾られている。
										
 ・「Cちゃ~ん」と呼ぶ次女は亡くなっていて、その写真も置いてある。
									
									
									
									周囲の環境がAさんの安定に役立っていると感じたことはありますか?
									
									
									ベッドサイドのカセットプレイヤー。すぐ隣が他利用者のいるリビングになっています。臥床していても人の声や音楽が聞こえてきます。窓際にベッドがあり、室内に風を入れることもできます。
									
								 
								
									(7)要望・障害程度・能力の発揮と、アクティビティー(活動)とのズレによる影響は考えられますか?
									
									
								 
								
									・以前上手だった歌が最近は歌えなくなっている。でも、とても音楽が好きで、気分がよいときは他利用者と一緒に口ずさみ、寝ながらまたは、食事のテーブルで手拍子する。
 ・最近は意味不明の言葉を言うことが増えたが、しっかりしているときはスタッフとの会話がはずむ。
										
 ・周りにいる人の距離を音の大きさで判断して、そばにいてほしい意味の言葉を言うこともある。
									
									
									
									音楽に対する反応について、スタッフは共通の認識を持っているでしょうか?
									
									
									童謡が好きなことはスタッフ共通の認識です。1回の食事に1時間以上を要して、スムーズに口を開けてくれるまでに2時間近くなることもあります。その間中、座位を保つためには体力保持の目的で長時間の臥床となり、本当は他利用者と一緒に楽しく過ごしたいのに、臥床しながら音楽を聞いています。
									
								 
								
									(8)生活歴・価値観等に基づいた暮らし方と、現状とのズレによる影響は考えられますか?
									
									
								 
								
									・次女は生まれたときから体が弱かったので早くに亡くなった。本人の中ではまだ生きていると思っていて、常に心配している。
 ・自分も中年期からパーキンソンになり、体が不自由で昔から苦労が続いている。
									
									
									
									現在の状態像では、思うようにできないことも多いはずですが、「何らかのことをするとAさんが安心感を持てる」ような状況を経験したことはありますか?
									
									
									次女と二人暮らしのときを思って次女の名前を呼ぶとき。
 実際には次女は亡くなっているけれどそれを告げずに、スタッフが次女のつもりでAさんの手を握ります。答えを求められたら、ゆっくり優しい口調で話しかけています。興奮していても、急に穏かな声に変わって「あーそう」と安心した声に変わります。