片耳が難聴(服用薬フロセミド錠の副作用)。
日ごろの意志伝達の工夫はどのようにしていますか?
突然話し掛けると驚いて不穏になるため、Aさんの正面へ行き、会釈をし、名前を呼んでAさんの意識がこちらに向いてから、伝達したいことを聞こえる方から大きな声でゆっくりと伝えています。
・認知症による幻覚。
・認知症により、自分の思いを上手に伝えることが難しい。
認知症の重症度はどの程度ですか?
自分の思いをどのように表出していますか?
職員は、Aさんの思いを汲み取る工夫をしていますか?
やや重度です。
自分の思いは言葉・身振りで表現します。言葉といっても、「あっちに行きたい。」など抽象的であるため、Aさんの指差す方向へ一緒に行き、Aさんに目で見て確認してもらっています。話の内容を探り、具体的な内容を聞き出しています。
(2)身体的痛み、便秘・不眠・空腹等による苦痛の影響は考えられますか?
・センノサイドを服用中。
・腹痛や不快感による影響が考えられる。
排便は毎日ありますか?また、排便が見られないときと攻撃的な言葉を発する日とに関連性はありますか?
腰痛に関してのケアは検討されていますか?
2日に1度の排便がないときや、腹部不快感・腹痛があるときは攻撃的になることは少なく、逆に職員に対して助けを求めることが多いです。
腹痛は、一過性のことが多く、訴えがあったときには臥床してもらっています。
便秘予防のために水分を多めにとってもらっています。
(3)悲しみ・怒り・寂しさ等の精神的苦痛、また本人の性格等の影響は考えられますか?
・寂しがり屋。
・自分の今いる場所が家ではないということを理解していることでの、精神的苦痛。
自宅ではないことを理解しているようですが、現在いるところはどんな場所だと認識していると思いますか?
自宅ではないが、現在の自分の生活を送る場所としての認識はあるようです。自分の居場所に対する認識はあり、Aさんの食事の席に他者が座っていると、「どけ!ここは私の場所。」と言ったり、自分の居室(多床室)の位置も認識しています。
(4)音・光・味・臭い・寒暖等感覚的な苦痛を与える刺激の影響は考えられますか?
・非常に寒がり。
・日中のクーラーの風が苦痛。
寒さ対策は行っていますか?
自身で上着を羽織って来ます。それでも「寒い。」と言うときは、何枚も上着を羽織ってもらっています。エアコンの風が直接当たらないような場所に座ってもらっています。それでも「寒い。」と言うときは、エアコンを切っています。
テレビ・ラジカセの音が雑音。
テレビ・ラジカセは共有スペースに置かれているのですか?
また、その音は長時間鳴っているのですか?
テレビ・ラジカセは共有スペースに置いています。テレビは7時~19時までついています。音量が大き過ぎないよう配慮しています。ラジカセを使用するときはテレビを消しています。
(5)家族・介護者など周囲からの過剰、あるいは少なすぎる関わりの影響は考えられますか?
・興奮状態が収まるまで、職員が距離をとって見守っているため、Aさんが寂しさを感じている。
・職員が興奮を鎮めようと過剰に接することで拍車をかけてしまう。
どの位で興奮は収まるのですか?
職員の距離のとり方を教えてください。
Aさんが寂しさを感じていると推察できる言葉や行動はありますか?
軽作業をしたり、絵本を読んだりして気を紛らすことができれば、興奮はすぐに収まることもあります。興奮が激しいとき、暴言があるときは、職員からは話し掛けないようにしています。1人で喋りながらフロア内を歩くため、他の入居者とトラブルにならないように職員は様子を見ています。1、2時間程で、Aさんの疲れが見えてくるので、頃合いを見て職員は声を掛けています。その際、本人が、「ひとりで寂しかった。」「誰も私の相手をしてくれない。」と話すことがあります。
(6)障害程度・能力の発揮に対して、住まい・器具・物品等物的環境による影響は考えられますか?
・排泄について
自室のトイレを使用するときは問題なく使うことができる。本人の部屋が4人部屋であり、トイレも1つしかなく、そのトイレを他の人が使っているときに他室のトイレへ案内すると混乱する。(使い方が分からなくなるなど)
自分の部屋のトイレと他室の部屋のトイレに違いがあるのですか?
自室のトイレはフロアから入って右に、他室はフロアから入って左にあります。トイレ内にある介助バーは、自室のトイレでは右側、他室のトイレは左側についています。Aさんの場所に対する見当識障害があるため、わずかな違いが混乱を招いていると思います。
(7)要望・障害程度・能力の発揮と、アクティビティー(活動)とのズレによる影響は考えられますか?
花・野菜など植物の世話が好きだったが、現在はそういった機会がほとんどない。
日中はどのように過ごしているのですか?
午前中は、比較的穏やかな口調での独語があります。午前中は職員との関わりもあるため、落ち着いて過ごしています。一緒にお茶を飲んだり、体操・レクリエーション・軽作業などをしたりして過ごしています。昼食の準備を始めるころになると、職員が忙しく動いてしまうため、独語の内容や口調が激しくなります。昼食時には落ち着きます。
午後も、レクリエーションなど職員との関わりがある日は、落ち着いて過ごしています。夕方から職員が忙しく動いてしまうため、独語の内容や口調が激しくなります。
(8)生活歴・価値観等に基づいた暮らし方と、現状とのズレによる影響は考えられますか?
・女手1つで2人の子供を育ててきた。
・経済的に苦しい時期も乗り越えてきた。
上記の内容を職員に話すのですか?
話すとしたら、Aさんはどのような表情で語るのですか?
Aさんからの言葉ではなく、息子からの言葉です。Aさんからは聞き出せていません。
・施設内で軽作業をしているときは、集中して取り組んでいる。
・やることがないと独語を言っている。
独語について、その内容や語り方を教えてください。
日常的に、「先生助けて。」「どうなっている?」「どうしたらいい?」と言います。始めは穏やかな口調で対応してくれる職員を探しています。他者の対応中のときなどですぐに対応ができないと、「どうして誰も来ない!」「誰もおらんのか!」と次第に声が大きくなり、怒声になり机をたたいています。幻覚時も同じで、言葉としては、「警察を呼ぶぞ!」と言います。机をたたいていることもあります。
家族が来所している時のAさんはどのような様子ですか。
家族とは認識できていない様子です。客人をもてなすような口調で、「ありがとうございました。」「どうもすいません。」と話します。最近では、家族に、「うるさいわ!」と言うこともあります。