DC博士のワン・ポイント

認知症Q&A~ここが知りたい認知症~

第一話:介護スタッフからの質問「虐待を予見したら」

質問

 利用者を迎えに行った際、家族の様子から虐待を予見した場合、対応としてケアマネへの連絡や包括支援センターへの連絡で対処しています。ただ、経過が分かりづらいこと、対応して頂く方の力量で意図していない結果になる場面があり心配です。

回答

 平成18年4月1日から施行されました「高齢者に対する虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」では、虐待を受けた疑いがある高齢者を発見した人は、市町村に通報する義務(一部努力義務)があるとされています。相談・通報等を受けた市町村は、事実確認等や援助方針の決定等その後の支援を行います。そして、市町村は地域包括支援センターが構築する「高齢者虐待防止ネットワーク」を活用しながら、関係機関・団体等と連携協力し、虐待を受けた高齢者や養護者等に支援を行うことになっています。なお、市町村はこれらの事務を、全てではないですが地域包括支援センター等に委託することができます。したがって、事務委託がされている場合地域包括支援センターに情報を上げていただくのは適切ですが、ケアマネジャーとは、上記の通報義務等の確認を行った方がよいでしょう。
 この法律は、高齢者虐待の防止だけではなく、『高齢者の養護者に対する支援等に関する法律』(一部省略)でもあります。そのため、支援を進めていく上で、介護サービスの提供者が、地域包括支援センターやケアマネジャー等とのネットワークで連携し、介護サービスの調整のほか、家族に対して介護の方法や、認知症に関する知識及び対応方法などのフォローを行っていく必要がある場合もあります。

 なお、質問にあります「経過が分かりづらいこと」が、市町村(委託を受けた、地域包括支援センター等含む。以下、高齢者虐待対応協力者)へ通報した後の経過が分からない事を指しているのであれば、市町村並びに高齢者虐待対応協力者には守秘義務が課せられていますので、情報が届いてない事も考えらます。当該地域における虐待防止のネットワークや対応協力者の構成を確認して、関係機関の連携に努める必要があるかもしれません。
 また、対応する人の力量が問われることは確かにありますが、現在はそのような立場の方に対して、研修の機会が設けられることも多くなってきていますし、市町村ごとに対応手順を定めている場合も多くあります。

認知症介護研究・研修仙台センター