認知症介護指導者の紹介/東京センター
井上 謙一 (東京センター第4期生)
住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができる 福祉コミュニティーの創造
グループホームじゃんけんぽん
地域の特徴
県都前橋市の西部、高崎市北部に隣接する人口35,000人の町に我ホームはあります。半世紀前にいくつかの村が合併し、群馬県群馬郡群馬町と何とも分 かり易い新しい町名ですが、地区それぞれの歴史は古く、古墳群からの出土品に因み「はにわのまち」であり、 全国的にも規模の大きな国分寺址や朝鮮半島から渡来した技術や文化の有形無形の痕跡、時代を下れば、街道筋の宿であった名残、新しくは歌人土屋文明氏、歴 代総理大臣に名を連ねる福田赴夫氏の生家がある町としても知られています。また、繭と生糸の生産量日本一を長く続けた 群馬の養蚕農家に特有の家屋と現在ベッドタウンの新興住宅とが混在する町でもあります。核家族の若い世帯が増える一方、旧家では広い屋敷に一人或は老夫婦 で様々な不便を抱えながら生活する世帯も多くなっています。そんな群馬町の中心部に平成10年、多様な二ーズに応えるべく 宅老所として出発し、平成12年より介護保険指定のグループホームとなりました。
地域での取り組み
■定員9名のグループホームにおいて、認知症高齢者入居サービスを実施
・利用者のどんな行動も介護者からみた間題行動と捉えず、根気よい観察をもとに個別援助を行う事によって、認知症の周辺症状が緩和され、当初グループホームには不向きと思われた方達も今では落ち着いて生活されています。
■「いつでも」「だれでも」「どこでも」必要な援助を受ける事ができ、安心して暮らせる地域づくり
・地域通貨「しるく」を仲立ちとして気軽にサービスを依頼したり、生き甲斐を持ってサポートすることにより地域の活性化を図ったところ、会員の方
から別の方へと人の輪が広がり、会員数の増加と共に様々な相談が持ち込まれるようになり、「よろず相談所」としての機能も果たすようになってきています。
・一人の人が、慣れた地域、馴染みの人達の中で暮らし、老いて生涯を終えるという事がその人にとってどんなに大切であり、環境の変化が認知症の人 をどんなに不穏にするかといった認知症高齢者介護への理解を根気強く呼びかけ、高齢者を皆で支える地域づくりに多数の協力者を得ています。
地域ケアの今後の展望
■誰でも利用できる「寄り合い所」ともいうべき拠点づくり
・当地の古民家を手入れし、使い続ける事により伝統家屋の保存を可能とし、そこに介護を要する人を含めた様々な人達が集い、気の向くままに時を過 ごす。更にアクティビティーも加え、一人一人の特技、趣味を生かした活動或はボランティア活動も行える場所をいくつかの候補の中から選び、運営を開始しよ うとしています。
■「寄り合い所」から福祉コミュニティーへ
・「寄り合い所」と同一敷地内に種々の活動を行うためのエリアを徐々に増やしそれぞれ、嗜好や能力に合った活動、楽しみ、相談等に対応できる場所にしようと準備を始めています。
・「寄り合い所」に集ううち、障害が重くなったり、認知症発現等で介護が必要となった場合には、必要の度合いに応じたサービスを同じ場所で或い は、顔馴染であり、それまでの状態を把握している介護者によって受ける事ができる。このような地域ぐるみで関われるコミュニティーを目指しています。