若年性認知症について
若年性認知症の本人・家族調査における就労と家計の状況
1)就労状況
2020年3月に厚生労働省の研究班から発表された調査結果によると、65 歳未満の若年性認知症者の 6 割(男性は 7 割)は発症時に就労しており、最初に気づいた人が職場 の仲間であるとした人が 2 割、職場や家事などでミスが多くなったことが最初に気づかれた症状であるとする 人が 4 割を占めていました。しかし、職場内での配慮は総じて少なく、何ら配慮はなかったとする人が 2 割を占めました。実際、調査時点で同じ職場で就労し続けている人は 1 割に留まり、大半は中途で退職していました。
2)家計の状況
調査時 65 歳未満の若年性認知症の本人または家族の 6 割以上が収入減を体験しており、4 割が「家計が苦しい」と自覚しています。世帯の主な収入は「家族の収入」か「障害年金」が大半を占め、約 1 割は「生活保護」 となっていました。家族に関する困りごとの第一位は「将来の経済的不安」であり、いつも必要としている情報に ついても「経済的支援に関する情報」が上位に位置していました。一方、65 歳未満の若年性認知症者の 6 割は自立 支援医療を利用しておらす、6 割は障害年金を受給していませんでした。経済的困窮は、本人・家族の心理的負担の大きな要因となっています。診断された医療機関おいて、経済状況をアセスメントし、必要な制度につなぐ診断後支援の確保が求められています。
認知症介護研究・研修大府センター