DC博士のワン・ポイント

もの忘れ外来って何?

通常行われる検査がなぜ必要か

 前回は、物忘れ外来ではどのようなサービスが受けられるかについて概略を説明しました。今回は、主に通常行われる検査がなぜ必要かについて説明しましょう。
 大まかに言って検査には以下のものがあります。採血検査、画像検査、生理学的検査(脳波など)、神経心理学的検査の4種類です 。

 前回申し上げたように、全国に「物忘れ外来」と称する外来は非常に増えており、それぞれ特徴を持っています。 ここに書いたものはあくまでも大体このくらいは通常やっているというレベルに過ぎません。
 検査でもこれ以外に、目に特殊な検査薬を点眼して、その反応を見て診断に役立てたり、口の中の粘膜の一部をぬぐいとって調べたり、さらには少し痛そうですが、腰の付近に針をさして髄液を採取して診断に役立てようという試みを行っている施設もあります。 このあたりになると、一般的というより、先進的な診断の研究の意味合いが強く、個別に承諾を求められると思いますのでその際詳しく説明を受けると思います。

 なお、今は検査のことばかり書いていますが、当然、この種の検査の前に、医師による診察があり、主な診断 はここで大まかに絞られます。 主な診断とは、そもそも認知症なのか、一時的な精神不調であり認知症ではないのではないかとか、実は体の病気から来ている可能性が高いのではないかとか、認知症であれば、脳の血管の問題によって起こっている認知症なのか、そうではないのか、などです。
 家族からするとただ話しを聞いたりしているだけでわかるのかとお思いでしょうが、実は診察にはさまざまな要素が含まれているのです。 さらに言えば、いろいろな検査をするといっても、結局は、それは診察で得た情報から導かれた診断をより精度の高いものにしたり、とりあえずこの病気ではないことは確認したりするといった補助的な意味合いが強いのです。さらには、より研究の意味合いの強い検査もあります。

 検査は医師の診察の後、必要なものをご本人やご家族と相談しながら進めていくものですから、検査の詳細を説明する前に医師がどのようなことを考えながら診察しているかを説明した ほうが良いかもしれません。しかし、また紙面がなくなってしまいました。手際が悪くて申し訳ありません。次回の更新は早めにしますので次回はこのあたりから話を進めたいと思います。

まつかげシニアホスピタル
認知症介護研究・研修大府センター
客員研究員 水野 裕