認知症介護指導者の紹介/大府センター
宮坂 和子 (大府センター第7期生)
独居・高齢者世帯を抱える地域ケアの取り組み
介護老人保健施設チェリーガーデン
地域の特徴
私の勤務する施設がある上田市は、日本のほぼ中央の長野県の東部に位置し、面積は177平方kmで、東西に21km、南北に14,6kmあり、そのほぼ 中央を千曲川が流れ、右側には大扇状地左側には平担地が広がっており、その回りを囲む形で松林など緑豊かな1,000m級の山々が連なって盆地を形成して おります。年間の最高気温は摂氏35度、最低気温は摂氏マイナス10度ぐらいで夏冬や昼夜の気温格差が大きく年平均降水量が少ない地域です。
施設は平成9年に病院併設型老人保健施設として開設されました。上田市の西のはずれにあたり、市街地より近隣の町村に近い位置にあります。施設
の周辺は、道路は整備され道路事情はよくなってきておりますが、交通機関には恵まれず車がないと移動が困難な場所でもあります。住民は、独居・高齢者世帯 が多くみられます。そのためか介護保険に移行してから、自分たちが介護が必要になった時のことを真剣に考え相談に来る方が増えてきております。
施設が取り組んでいる地域ケアについて
当施設は介護老人保健施設(一般棟70床・認知症専門棟40床)への入所・ショートステイ・通所リハビリ(40名定員)・訪問看護・訪問リハビ リ・居宅支援事業所を行っています。通所リハビリは、施設の位置が近隣の町村に近いということもあり、上田市内・近隣の町村までの送迎を行っており、利用 者の半数は近隣の町村の方が占めています。
地域の方の施設見学・ボランティア、保育園・小学校との交流会、中学生・高校生の体験学習やボランティアの受け入れを通し、多くの方に施設・高
齢者福祉を理解していただくように努めています。また、認知症高齢者を介護されている家族との学習交流会を行っております。開設当初に比べ、多くの方が施 設を訪れるようになり、小学生の頃交流会に参加していた子が中学・高校になっても訪問してくれるようになり、若い世代にも関心を持ってもらえてきていると 感じます。また、認知症高齢者の家族との学習交流会に多くの参加者が集まり、活発な意見がでていることから家族の介護への厚い気持ちを感じます。
今後の課題と展望
私は、当法人のグループホームに勤務していますが、日々、認知症高齢者へのケアの難しさを実感しています。そのために、地域でかなりのシェアを 占めている法人としては、職員の質向上のために、今以上の認知症ケアの研修への参加、自施設での学習会の開催などが必要と考えられます。 また、家族の人もなかなか認知症というものを理解できていません。家族の心理の中に、身内の認知症を認めたくないというのがあるのも、その原因かと思われ ます。
しかし、その現実と向かい合って頂くためにも、まず家族への働きかけが必要に思います。そして、一番課題なのが地域の理解です。そのためにも、 これまでの既成概念にとらわれない施設ケアのあり方を模索し、地域への施設機能の分散化が必要に思います。そうすれば、将来、認知症高齢者は住み慣れた環 境で、安心して自分の暮らしを続けることが出来るのではと考えます。