【運営】:認知症介護研究・研修センター(東京、大府、仙台)
  我が国の認知症介護に関する研究・研修の中核的機関として
  平成12年度に厚生労働省により設置されました

研修情報

認知症介護指導者の紹介/大府センター

田中 涼子 (大府センター第2期)
新しい地域ケア文化の創造を目指して

高齢者福祉総合施設ももやま

地域の特徴

 平成12年9月1日に開設された高齢者福祉総合施設ももやまは、児童館が併設された新しい施設です。山手に桃山城や桃山御陵といった緑豊かな丘陵地帯を 控え、また、周囲は、閑静な住宅地や建築後かなりの年数を経た団地などがある住宅街の中に位置し、しかも歩いて数分の場所には、賑やかな大手筋とうい商店 街があり、生活感にあふれた町の 真ん中にあります。
 築後30年近くになる団地では、そこで長年住み続けてこられた方たちが年齢を重ねられ、老世帯や一人暮らしの高齢者といった状態などの実態があります。

ももやま、3つの理念と、地域ケアへの取り組み
 当施設は、「(1)ももやまで、ひとり暮らしでも安心な地域、(2)ももやまは、ホームを地域の住居に、(3)ももやまを、全ての世代の広場 に」の3つの理念を揚げ、特別養護老人ホーム(定員80名)、ショートステイ(定員20名)、ホームヘルプステーション、在宅介護支援センター、ケアプラ ンセンターという高齢者福祉の総合施設としての役割と共に、 児童館を併設しています。個室・ユニットケアへの取り組みは、施設を地域における「安心な住まい」へと転換する試みです。また、施設の1階は、ゆったりと した喫茶レストランなど、地域の全ての世代の人々が集う場として活用されている他、自然な形で高齢者と子供たちとの交流などの取り組みを展開しています。 在宅高齢者へも、食事サービスや介護予防資源の開発など、介護保険 サービスと併せて一人暮らしや高齢者世帯を支えています。また、新しい試みとして、高齢化マンションへのサポートセンターの検討など、地域ニーズに応える 資源の研究にも取り組んでいます。

今後の課題と展望
 ももやまが開設して4年目に入ろうとしています。個室ユニットケアを先駆的に進めてきて、様々な課題が挙がってきました。とにかく、個別ケアの 重視、個別のニーズにできるだけ応えていくという姿勢で、3年間ひとつひとつ丁寧に関ってきました。その過程で、ご利用者との関係性の深まりや、ご家族と の連携の必要性、ご利用者のその人らしい生の実現など多く の課題について、日々考えさせられています。今後、確認できた点を再評価しつつ、新たな課題に前向きに、そして高齢者介護に関る全ての人たちと共に、新し い地域ケア文化の創造を目指して努力していきたいと考えています。
 なくなりかけてきている「高齢者から学ぶ」とか、「高齢者への尊厳」などを踏まえつつ、世代が異なる者同士(高齢者という利用者、そしてそのご 家族、 児童館の子供たち、そしてそのお父さん、お母さんの世代、様々な年代の職員など)が、共に生きるという「共生」を、このももやまを軸に展開していきたいと 考えています。

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