認知症介護指導者の紹介/大府センター
渡部 智香子 (大府センター第6期生)
公立精神病院の中で認知症ケアに取り組むということ
京都府立洛南病院
地域の特徴
私たちの病院のある宇治市は50年ほど前に京都府の南部に誕生し、現在では南山城地域の中核をなす都市となりました。当院は宇治市北東部の丘陵地に位置 し、昭和20年に府によって設置されました。早くよりリハビリテーション活動を推進し、昭和50年代からは重症患者へ対応するなど 時代の変化に対応しながら、実績をあげてきています。患者さんは府内の精神科や一般科医療機関、保健所、福祉施設、そして救急隊や警察と幅広い機関より紹 介され受診されています。若年層の患者さんもいらっしゃいしゃいますが、徐々に入院・外来患者さんとも高齢の方が多くなってきているように思われます。 そのカに応じた支援をどのように行っていかが課題と言えます。
当院が取り組んでいる医療看護について
平成8年度からは、中長期計画に基いて急性期治療病棟を発足させ、地域の要望に即応できる病院運営をめざし、より一層患者さんの人権擁護、社会 復帰と社会参加の促進、地城精神保健福祉の発展のため努カしているところです。さらに、平成14年度にスタートした府南部圏域における精神科救急 システムの基幹病院として、精神科救急医療を積極的に担っています。許可病床数は266床(6看護単位)です。そのうち2つの病棟が救急病棟として機能し
ています。
私の所属する病棟は認知症や老年期精神疾患を中心とした患者さんが入院されています。老人専門外来を受診され、入院治療が必要と診断された方が 約30名いらっしゃいます。チームナーシング体制をとり、必要な方にはマンツーマン対応で様々なハンディキャップを持ちながらも、その方がその方らしく過 ごせるように 日常生活の援助を行っています。必要な治療を受けながらも、安全に配慮しできるだけ自由に快適に入院生活を送っていただけるように、医師、看護師、ケース ワーカー、作業療法士、栄養士などスタッフ全員が日々奮闘しています。年間数校の看護学生実習を受け入れているほか、音楽療法やレクレーション活動にもカ
を入れています。
今後の課題と展望
入院患者さんのうち、常時半数以上の方が認知症疾患です。当病棟の担う役割として治療の場から生活の場への橋渡し(施設~当院~施設・在宅~当 院~在宅・在宅~当院~施設)ということがあります。もっとも適切な時期に適切な場所へその方の意思を大切にしながら移っていただきたいと願っています が、ご家族や受け入れ先の 事情によりそれもままならケースもあります。また、その方の疾患に応じた看護や介護を最もふさわしい環境で行いたいと思っていますが、制限される場合もあ
ります。当病棟の限られた環境の中でどのようにケアの質を高めていくか、スタッフ個人個人に対する意識をどのように向上させていくかが課題と言えると思い ます。