【運営】:認知症介護研究・研修センター(東京、大府、仙台)
  我が国の認知症介護に関する研究・研修の中核的機関として
  平成12年度に厚生労働省により設置されました

研修情報

認知症介護指導者の紹介/大府センター

三上 孝子 (大府センター第7期生)
「住み慣れた暮らし」と施設の役割

介護老人保健施設ライフケア有田

地域の特徴

和歌山県有田郡は有田みかんで有名なところです。有田郡1市5町村には6つの介護老人福祉施設があります。当施設は済生会有田病院の併設施設として平成9年に開設した80床の老人保健施設です。
 施設のある湯浅町は半農半漁で暮らしている15000人程の町で、高齢者率は22%です。独居老人が多い反面、昔ながらの三世代、四世代家族も みられます。介護保険導入後、施設や在宅サービスのご利用は増えましたが、まだ「介護は嫁がみるもの」という家族介護の認識が強いように思います。

施設が取り組んでいる地域ケアについて
 介護保険以後、老健は「第二の特養」といわれ入所の長期化が問題になっていますが、施設の方針は「人は住み慣れた地域で暮らす」という在宅支援 です。そのために、ショートステイとデイケアの充実を図っています。また、農繁期に施設入所を希望する方が多く、みかんの収穫時期はどの施設も満杯です。 そういった地域のニーズに応えるために、当施設では農家でない入所者に農繁期だけ課程へ帰って在宅サービスを受けてもらい、逆に農家の方に入所していただ く方法をとっています。農繁期が終わると人が入れ替わります。この方法はひとつのベットをを有効に活用でき、入所希望者のニーズに応えることことに加え、 家庭に帰った方々も家族とともに過ごす時間が持てます。なかには、退所を拒んでいた家族が在宅サービスに切り替えたまま介護されている事例もあります。

今後の課題と展望
 当施設は20床の認知症棟がありますが対応しきれない現状です。スタッフは試行錯誤の中から集団処遇の限界を感じ、ユニット化に向けて学習中で す。平成17年度にユニットを前提とした改築が始まります。その中かの地域交流の場が「気兼ねなく利用できる町のサービスセンター的機能」として活用でき るよう、地域とのつながりをもつことが大切です。
 そのために、施設からスタッフが地域に出ることから始めています。地域に興味を持ったスタッフは「ふつうの生活」を意識できるユニットケアの理 念を肌で感じます。私は施設管理的立場にいますが、行動の源はスタッフです。また、有田郡市の施設合同の学習会を実施していますが、これから認知症介護の 理解を進めていかなければなりません。今やっと、入り口に立ち、地域という出口に向かって発信中です。

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