認知症介護指導者の紹介/大府センター
兵庫 宏昭 (大府センター第8期生)
地域ケアの取り組み
在宅福祉総合センターにしき園
地域の特徴
わが串本町は、「ここはくしもと…・」の串本節で広く知られている本州最南端の町で、気候は黒潮の影響で、真冬でも平均気温が8度と大変温暖です、昭和8 年4月9日に当地潮岬を訪れた高浜虚子は「灯台を花の梢に見上げたり」と歌い、その灯台から眺める太平洋の雄大さは、沖行く船のいかに微小なるか実感させ てくれます。町の人口は昭和35年の2万2千人春頂点として、年々減少平成15年1月現在では1万5干6百人台となっています。地域での就労先が祭いため、 就労先を求めての町外や県外への人口流失が大き原因であるようで、高齢化率も30%強となっています。一方、士地柄、農業や漁業の第一次産業や小売業や飲 食業そして民宿等のサービス業に従事されている高齢者の方も多く、90歳の方でも畑仕事をされていて、元気老人も目立ちます。介護保険平均保険料も2干9 百円余り/1ヶ月と他の町村に比べ低額です。
わが法人が取り組んでいる事業について
昭和61年10月に50床の特別養護老人ホーム開設で始まり、平成7年9月に在宅福祉総合センターとして、20床のショートステイ、C型デイ サービス、ホームヘルプサービス、在宅介護支援センター、の機能と平成11年にはグループホームが加わり、介護保険の施行と共にそれらは若干の変化や追加 があり、現在、50床の介護老人施設、20床の短期入所生活介護事業、40名定員の通所介護事業、9名定員の認知症対応型共同生活介護事業、6名定員の高 齢者共同生活住宅の運営、訪問介護事業や居宅介護支援事業、訪問入浴事業、在宅介護支援センター業務、配食サービス、外出支援サービス、寝具洗濯・乾燥 サービスに取り組んでいます。
今後の課題と展望
私が認知症高齢者に関与したのは、在宅介護支援センターの職員として業務に携わる中であり、その相談内容から、他の相談事例と異なり、介護者の みならず認知症高齢者双方が困りきっておられる事例が大変多いという印象と多くの場合虐待につながる事例にも出くわすことになったことから、とりあえずの 避難場所をと、グループホームの建設に歩をすすめることになりました。その過程で地域住民の認知症高齢者に対する偏見の存在を強く思い知らされる出来事に 出くわすこととなり、認知症になっても安心して暮らせる地域社会つくりを究極の目標に掲げ、その手始めに、わが町で高齢者介護に従事されている専門家の方 への認知症高齢者の方に対する意識調査を試み、その結果を基に、偏見に対する包囲網を点から線そして面へと拡大するため、まず、法人内でのこれからの認知 症介護についての勉強会の開催と調査から得た第一の課題としての民生委員さんへの働き掛けを始ています。